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米経済界「株主第一主義」見直し 従業員配慮を宣言
2019/8/20
】米主要企業の経営者団体、ビジネス・ラウンドテーブルは19日、「株主第一主義」
を見直し、従業員や地域社会などの利益を尊重した事業運営に取り組むと宣言した。
株価上昇や配当増加など投資家の利益を優先してきた米国型の資本主義にとって
大きな転換点となる。米国では所得格差の拡大で、大企業にも批判の矛先が向かって
おり、行動原則の修正を迫られた形だ。
19日公表した声明には同団体の会長を務めるJPモルガン・チェースのジェイミー・
ダイモン最高経営責任者(CEO)のほか、アマゾン・ドット・コムのジェフ・
ベゾスCEOやゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラCEOなど181人の
経営トップが名を連ねた。賛同企業は顧客や従業員、取引先、地域社会、株主と
いった全ての利害関係者の利益に配慮し、長期的な企業価値向上に取り組むという。
今回の宣言は米経済の根幹を成す「資本主義のかたち」を大きく見直すものだ。
米ビジネス・ラウンドテーブルは1978年以降、定期的にコーポレートガバナンス
(企業統治)原則を公表し、97年からは「企業は主に株主のために存在する」と
明記してきた。JPモルガンのダイモンCEOは発表文で「アメリカンドリームは存在
するが、揺らいでいる」と指摘した上で、行動原則の見直しは従業員や地域社会へ
の投資継続を約束するものだと述べた。

「株主第一主義」の見直しは、米経済界に対する国民の批判をかわす狙いもありそうだ。
トランプ米政権の税制改革で企業の利益水準は押し上げられたが、賃金の伸びは鈍い。
余剰資金は自社株買いに回り、米株高を演出した。
恩恵を受けたのは株式を持つ資産家や、自社株で報酬を得る経営者層――。
そんな不満が富裕層増税や大企業解体などを唱える米民主党左派への支持につながっており、
米経営者の危機感は強い。