https://news.yahoo.co.jp/articles/eb5220aa93d403cc24c7f2b0660d586cd277fa17
 アメリカ政府の新型コロナウイルス対策に大きくかかわってきた米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ博士は9日、
出席者の多くがマスクを着けず、社会的距離も守られていなかった9月下旬のホワイトハウス式典が、感染拡大につながった「スーパースプレッダー・イベント」だったと批判した。

ファウチ博士はCBSニュースで、ホワイトハウスがマスク着用や社会的距離の必要性を強調せず、頻繁なウイルス検査に頼っていることについて意見を聞かれ、
「データから自明だ。ホワイトハウスで、スーパースプレッダー・イベントがあった。大勢の人で混雑していて、マスクを着けていなかった」と指摘した。

9月26日にホワイトハウスで行われた最高裁判事候補の指名式典について、出席者の複数が感染していることから、
これが「スーパー・スプレッダー」イベントだったのではないかと注目されている。
首都ワシントン市内では大規模集会は感染対策のため禁止されているが、ホワイトハウスなど連邦政府施設は規制から除外されている。

ファウチ博士はさらに、感染症の専門家はこの半年間ずっとマスク着用を推奨してきたと指摘。
さらに、新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」を「治す」方法があるなどと主張するのは危険だと非難した。
10月2日に新型ウイルス陽性を発表し、入退院したトランプ氏は、自分が受けた未認可の治療法がCOVID-19を「治した」と発言し、
国民に無償で提供する用意があると話している。

一方で、ホワイトハウス職員や政権関係者の間ですでに30人以上の感染が明らかになっている。
共和党幹部のミッチ・マコネル上院院内総務は8日、ホワイトハウスの感染対策を疑問視し、自分は8月上旬からホワイトハウスを訪れていないことを明らかにした。
2日の陽性発表以前にトランプ氏が最後に陰性と判定されたのはいつか、複数の報道機関が繰り返し質問しているものの、ホワイトハウスはこれに答えていない。

■15日の討論会は中止
米大統領候補討論会委員会(CPD)は9日、15日に行われる予定だった2回目の討論会の中止を発表した。
両候補が15日にそれぞれ独自のタウンホール集会を企画したためと説明している。

これに先立ちCPDは当初、ドナルド・トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したことを受けて、2回目の討論会をバーチャルで開催すると発表していた。
これについてトランプ氏はバーチャル討論会には「意味がない」と拒否。
トランプ陣営は、「10日までに公の場の行事に出られるようになる」と主治医が診断したことを受け、当初の予定どおり15日に対面の討論会を要求していた。

3度目で最後の大統領候補討論会は、22日にテネシー州ナッシュヴィルで予定されている。
CPDはこの3回目の討論会は必要な感染対策をとった上で実施すると説明。両候補はこの討論会の出席には同意していると明らかにした。
15日にバイデン氏が開くタウンホール集会はABCニュースが、トランプ氏の同様の集会はNBCニュースが放送する予定とみられている。

トランプ氏の主治医は、1日の陽性判定から10日間を経た10日には「大統領は安全に公の場の行事に出席できるようになる」と診断。
それによると、大統領は投薬治療に「きわめて良好」に反応し、容体は「引き続き安定している」。「病状の進行をうかがわせる」兆候もないという。
これを受けてトランプ氏は10日、ホワイトハウスのバルコニーから南庭に集まった聴衆に向けて、「法と秩序」をテーマに演説する予定。すでに数百人が招待されたという。
ホワイトハウスによると、出席者は全員マスクの着用が必要となる。検温のほか、社会的距離を維持するよう指示するという。

米政府は、ホワイトハウス敷地内でのこの演説は大統領としての行事であって、選挙活動ではないと説明している。
トランプ陣営はさらに12日には、フロリダ州サンフォードで大規模な選挙集会を予定している。

ミネソタ州保健当局は9日、トランプ陣営が9月18日に州内で開いた選挙集会に関連して、9人の感染が確認されたと発表した。
少なくとも1人が陽性で感染力のある状態で集会に参加。さらに入院した2人のうち1人が集中治療を受けている状態という。