世界遺産・平等院(京都府宇治市)は12日、国宝・鳳凰(ほうおう)堂(阿弥陀堂)の旧中央扉が創建(1053年)当時のものと判明したと発表した。光学調査で複数の菩薩が描かれた「来迎図」も確認。創建当時の様子を知る貴重な資料となる。
 旧扉は、鳳凰堂正面中央部の観音開きの2枚からなり、南扉は半分ほど欠損し、北扉は縦約4・7メートル、幅1・6メートル。江戸期の1670年に現在の扉と交換して以降、平等院で保管されていたが、その形状などから昭和40年代に旧中央扉と考えられるようになった。
 傷みが激しく肉眼では扉の図柄などは確認できないが、光学調査の結果、北扉の中央付近に建物の屋根が描かれ、上方に衣をなびかせて飛来する菩薩が少なくとも4体確認された。南扉には、建物の屋根や柱に加え、幾重にも連なる山の稜線(りょうせん)が確認できた。
 極楽往生には9つのランクがあり、今回は最高位の「上品(じょうぼん)上生(じょうしょう)」を描いた可能性がある。板からは「上品」の文字が確認できた。
 また、天然鉱物を原料とする彩色顔料も検出され、創建当時の顔料を知る手がかりになるという。
 平等院の神居文彰(もんしょう)住職(57)は「鳳凰堂の中で最も大きな扉に、非常に大胆で独創的な絵が平安期に描かれ、残っていることに驚いた」。

https://www.sankei.com/west/amp/201012/wst2010120041-a.html
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