北海道沿岸ではあまり見られなかった「カツオ」の群れが、道南の沿岸で次々と定置網にかかっています。専門家は北海道沿岸の水温が高くなっているためではないかと分析しています。

道南では数年前から夏の時期を中心にカツオが定置網にかかるようになり、22日朝に鹿部町の港に戻った船も本来の秋サケやスルメイカがほとんど取れず、取って代わるようにブリやサバに混じってカツオが水揚げされました。
魚の生態に詳しい北海道大学の桜井泰憲名誉教授によりますと、カツオは水温が比較的高い海域で活動し、地球温暖化の影響などで北海道沿岸の水温が高くなっていることが要因ではないかと分析しています。
この船を所有する水産会社の社長の坂本洋介さんは「カツオはことし急激に水揚げが増えた。海の環境の変化なのか最近は魚の種類が変わってきていると感じている」と話しています。

【魚の生態に詳しい識者は】
北海道大学の桜井泰憲名誉教授は、北海道でカツオがとれるようになった背景として、沿岸の海水温の上昇があると指摘しています。
桜井名誉教授によりますと、カツオは海水温が比較的高い18度程度の海域で活動するため、従来は宮城県の三陸沖までしか北上しなかったということです。
ところが、北海道沿岸の海水温は地球温暖化などを背景に過去30年間で1度から3度上昇していて、北海道にカツオが回遊するようになったことに加えて、特にことしは台風が北海道周辺を通過しなかったことも重なって例年より海水温が高い状態が続き、今もカツオが水揚げされているのではないかと分析しています。
桜井名誉教授は「今後、さらに海水温が高くなれば北海道で養殖が盛んなホタテが死んだり昆布の成長が悪くなったりすることなどが懸念される」

https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20201022/7000025954.html