11月3日の米大統領選が約1週間後に迫る中、前回選でトランプ大統領が制した南部の共和党の地盤に異変が起きている。ジョージア州もその1つ。長く続く人種差別に対する反発や他州から移り住んできた進歩的な若者らが民主党のバイデン前副大統領の躍進を後押ししている。

 「ジョー・バイデンはあなた方の雇用を奪う米政治史上最低の大統領候補だ」。16日、トランプ氏は州中部メーコンで開いた大規模集会で、冒頭からバイデン氏批判を繰り返した。

 支持者の熱気は相変わらずだ。集会は、新型コロナウイルスの感染拡大を招きかねないと批判されているが、リハビリ専門家のデービッド・ベーカーさん(59)は「トランプ氏は自ら感染した経験を基に、医者から学び、ワクチン開発を進めている」と擁護。元教員のゲーリー・ジョーダンさん(75)も「バイデンは、ニューヨークやカリフォルニアでは人気があるかもしれないが、ここはトランプ王国だ」と鼻息が荒い。

 確かにジョージアは1984年以来、92年を除き、大統領選では共和党候補が制してきた。その牙城が今、終盤にてこ入れを図らなければならないほど揺らいでいる。政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の各社支持率平均で、トランプ氏はバイデン氏に21日現在、0・8ポイント差のリードを許している。

 翌17日、コブ郡マリエッタの投票所を訪ねると、理由の一端が見えた。期日前投票をしようと大勢の人々が列をなしていた。「今なら最大で3時間待ちかな。投票が始まった12日は10時間待ちだった」。選挙補助員の男性(73)が教えてくれた。
 プエルトリコ系のハナ・ルイズさん(29)は「選挙当日は混雑し、コロナに感染するのが心配だった。移民の声をしっかりと届けたかった」と、3時間待ってバイデン氏に1票を投じた。

 州都アトランタを含むフルトン郡のルワナ・H・タッカー民主党委員長(42)は期日前投票について「4年前の同時期と比べても圧倒的に多い。コロナから国民を守らない政権にみんな飽き飽きしている」と手応えを語る。長年、「何かにつけて投票を抑圧してきた」(タッカーさん)共和党の州政府に対する反発も投票増に拍車をかけている。

以下ソース先で

2020年10月25日 06時00分 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/64040