核兵器禁止条約の批准国・地域が発効に必要な50に達したことを受け、広島では25日、被爆者や平和運動に携わる人たちに喜びの声が広がった。今度こそ核兵器の終わりの始まりに―。被爆75年の節目に発効への道筋がついたことを歓迎する一方、実現までに険しい道のりが予想される核兵器廃絶に向けて決意を新たにした。日本政府には、条約への参加を強く求めた。

「大きな興奮を覚えている。ただちに廃絶が進むわけではないが、悲願である核兵器の禁止・廃絶を具体化する大いなる一歩」。日本被団協代表委員を務める広島県被団協の坪井直理事長(95)はコメントを発表した。

 核兵器保有国と日本政府を含む「核の傘」の下にいる国々には条約への参加を要請。「険しい道が続くのかもしれないが、忌むべき兵器を世の中から無くしたい」と前を見据えた。

 「世界が動いた感動と感激で胸がいっぱいだ。諦めることなく、声を出し続けることが大事だ」。箕牧(みまき)智之理事長代行(78)も力を込める。核保有国の為政者に向けて「広島を訪れて核兵器の恐ろしさを肌で感じ、条約批准へ政策を転換してほしい」と求めた。

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(76)も「さらに世論と運動を強め、条約を拒否する諸国を追い詰める。核兵器のない世界の実現、核被害者の支援に一層の努力を続けたい」と誓った。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5552e85804c41dac356318919259ea4094aea024
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