日本で唯一、香辛料の神をまつる波自加彌(はじかみ)神社(金沢市花園八幡町)が、神社に伝わるキツネの伝説と香辛料を題材にした御朱印帳を作製した。お守りなど多くの神社グッズを頒布してきたが、香辛料とキツネの「共演」は初めて。新型コロナウイルスの影響で参拝の客足が減る中、田近規景(のりあき)禰宜(ねぎ)(32)は「明るい気持ちで外出し、神社を巡ってほしい」としている。

 同神社は香辛料で知られるが、300年前に神社周辺の村に水の恵みをもたらしたと白いキツネの「白狐(びゃっこ)伝説」も伝わる。

 森下川から津幡川までの地域では、田畑の水不足により、村人の争いが絶えなかった。そこで、津幡の村に住んでいた加賀藩の役人、中橋久左衛門が波自加彌神社に参拝したところ、神の使いである白いキツネが家にやって来た。キツネの足跡をたどって水路を掘ると、勢いよく水が流れ出し、現在の河原市用水となったという。

 御朱印帳の表面には、白いキツネと、キツネへの感謝を込めて鳥居の前に作られた瑞狐橋(ずいこばし)を描いた。裏面にはショウガやワサビ、ハジカミなどの香辛料に加え、白、朱色、金色の3色の糸であしらったキツネを配置した。

 新型コロナで同神社の参拝客は3月から激減し、最近はようやく回復傾向に入ったという。御朱印帳は1冊1500円で、来月1日から頒布する。

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