地方銀行の経営が悪化し、利用者の負担増を求める動きが広がる。2020年9月中間決算を朝日新聞が集計したところ、最終的なもうけを示す純利益は6割の地銀で減った。長年の低金利で金利収入は減り続け、新型コロナウイルスの影響で融資先の倒産などに備える与信費用が増えて業績を下押しした。各行は収益を増やすため、手数料の新設や引き上げを進めている。

 全国101行のうち、14日までの発表分で前年と比較可能な96行を集計した。純利益(単体)は6割の56行が減益か赤字だった。増益は40行だった。赤字はコロナ禍で保有株など有価証券の下落が響いた百十四銀(香川)や、有価証券の減損損失を計上した福島銀、東日本銀(東京)、東京スター銀。地域別でみると、東北の13行中8行、関東の15行中11行、近畿の7行中5行が減益か赤字だった。九州・沖縄は増益の銀行が減益を上回った。来年1月に合併する第四銀と北越銀(ともに新潟)は2行合算で減益だった。

 純利益が大きく落ちた東北銀(岩手)や八十二銀(長野)、福邦銀(福井)、関西みらい銀(大阪)、大分銀は与信費用が増えた。当初想定より低かった横浜銀も「今は少なく済んでいるが、もう一回、パンデミックが来れば)厳しくなる可能性は十分ある」(大矢恭好頭取)という。

 苦境のなかで新たな収益源にするのが手数料。千葉銀は10月以降開設の普通預金口座について、2年以上未利用などの際は管理手数料を税込み年1320円取る。佐久間英利頭取は「未使用の口座維持は(銀行側の)負担が大きい。いらなくなったら解約して頂くインセンティブ(動機)が働くのではないか」と話す。静岡銀や北陸銀(富山)、佐賀銀なども同様に10月から、百十四銀は11月から同様の手数料を導入した。宮崎銀も来年1月以降の新規口座に同様の手数料を課す。

 ATM(現金自動出入機)の手数料も値上げの波が押し寄せる。山陰合同銀(島根)は無料だったキャッシュカードによる自行宛て振り込みで、11月から税込み110円の手数料をとるように改めた。法人顧客が3万円以上振り込む場合は330円。鳥取銀は来年1月から、他行カードで3万円以上振り込む際、以前より110円高い税込み440円を取る方針だ。

 きらやか銀(山形)は9月、納…(以下有料版で,残り:547文字)

朝日新聞  2020年11月14日 19時44分
https://www.asahi.com/articles/ASNCG641LNCDULFA03Z.html