7年前、海上自衛隊の潜水艦で乗組員の男性が拳銃を使って自殺を図ったのは、上司のいじめや暴行が原因だったなどとして、両親が国などに賠償を求めていた裁判で、当時の上司が男性に謝罪することなどを条件に和解が成立しました。

海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」の乗組員だった坂倉正紀さん(46)は、7年前、広島県にある海上自衛隊呉基地に停泊していた潜水艦の中で、拳銃を使って自殺を図り、一時意識不明となりました。

坂倉さんの両親は、海上自衛隊の上司から殴る蹴るなどのいじめや暴行を受けていたことが原因だとして、国などに対し4400万円余りの賠償を求める訴えを山口地方裁判所に起こしていました。

原告側の弁護士は、16日、記者会見を開き、国が両親に1100万円を支払うことや当時の上司2人が坂倉さんに謝罪することなどを条件に、和解が成立したことを明らかにしました。

また、和解の条件には、上司などが不適切な指導を行わないよう対策することや隊員との面接などを通して心や体の状況を把握するなど、国として再発防止策を取ることも盛り込まれたということです。

坂倉さんの母親は、弁護士を通じて「自衛隊が、暴力がまかり通る組織であると知っていたら、息子を絶対に就職させなかったと後悔している。国が再発防止に全力で取り組むことを強く願っている」というコメントを出しました。

一方、海上自衛隊の山村浩海上幕僚長は、「事案を重く受け止めて再発防止策を徹底し、引き続き国民の負託に応えるよう努めて参ります」とコメントしています。

11月16日 17時55分 山口 NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/20201116/4060007674.html
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/20201116/4060007674_20201116185815_m.jpg