【ヒトラーの逸話】

2000年以後、ヨーロッパの3分の1とアメリカの3分の1が荒廃してしまい、アフリカと中東も完全に荒廃する。

それを告げるためにこそ、私は今日を選んで諸君を招いたのだ。今日から100年後すなわち2039年1月25日だ。

諸君にはわからないだろうが、そのとき人類には真の究極の状況が起こっている。そのとき人類は──少なくとも、いま言っているような意味での人類は、2039年1月、地球からいなくなっているのだ。


地下都市に、やがて人間は住むようになる。いや、そういう場所にしか住めなくなるだろう。

それほどの毒物や毒光がいずれ人類に、少なくとも人類の一部に降りかかる。各文明国はそれを避けて、地下に商店や会社や住居をつくる。ここはそのためのプロトタイプなのだ

ヒトラーはこんな不気味なことをつぶやいて、1932年春、権力を握りだすとともに、前からあったログハウスの別荘に加えて、不可解な洞窟式の巨大山荘を作らせはじめた。そこには、完成時には「いずれ将来、見えない毒気が侵入するから」という彼の指示で、空中のどんな有毒物も通さないナチス技術の粋のような浄化装置がつけられた。


食物も将来は汚染されるからという指示で、ドイツ科学が生みだした、100年も保つカンヅメ類がたくわえられた。