第2波の死亡率は1.4%。第1波の7.4%よりも大幅に低下した。
この統計は、国立国際医療研究センターが、全国345施設を退院した患者、入院中に死亡した患者計約6000人のデータを分析した中間報告に基づく。

1月1日〜6月5日を「第1波」、6月6日〜9月4日を「第2波」として比較した。

入院時に重症だった患者の割合も第1波の28.8%から、第2波は9.5%に減少した。
発症後、早く入院できるようになったことが一因という。入院までの平均日数は、第1波は7.6日から、第2波は5.1日まで短縮した。

同センター病院の大曲貴夫・国際感染症センター長は「症状が出てから診断までの時間が短縮した。
早く診断すれば、医療的な介入を早く始められ、入院時の重症者は減る。それで、死亡率を下げられたりするのではないか」と話す。

第1波では、診療体制が追いつかず、発症してもPCR検査を受けられない患者が相次いだ。
「患者を受け入れてくれるか分からないまま、電話をかけまくって病院を探した」。東京23区内の保健所職員は第1波を振り返ると、今も青ざめるような思いになるという。

混乱もしたが、検査体制の拡充、受け入れ病院の増加、入院先の割り振りなどが進み、治療も前進した。
「どういう状態の患者にどういう処置をすれば良いか少しずつ進歩している」と多くの専門家は話す。

全国の大学医学部でつくる全国医学部長病院長会議が九月に公表した治療実態調査では、
人工呼吸器や人工心肺装置「ECMO(エクモ)」利用のほか、効果があったものとして「腹臥位療法」が報告されている。

夜間などの長時間、うつぶせにすることで背中側の肺への圧迫を減らし、膨らます効果があるという。

治療薬についても、分かってきたことがある。西村康稔経済再生担当相は10日の記者会見で、
抗ウイルス薬「レムデシビル」とステロイド系抗炎症薬「デキサメタゾン」、血液の凝固を防ぐ「ヘパリン」を状況に応じて組み合わせる治療法などを紹介した。

新型コロナで亡くなった人の血液が、固まりやすくなっていた事例があったことから、ヘパリンが使われることになった。

ただし、今後も気を緩めない方がいい。特に高齢者は注意が必要だ。
同センターの分析中、第2波で入院した患者のうち49歳以下は全員が回復して退院したが、70歳以上は全体の約11%が亡くなっている。

死亡割合が高かった心疾患と慢性肺疾患、脳血管障害、腎機能障害の持病がある人も、特に感染に気をつける必要がある。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/69288

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