政府は新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、観光需要喚起策「Go To トラベル」の運用を一部見直す検討に入った。感染拡大地域は事業の一時停止を含めて調整する。西村康稔経済財政・再生相は20日の記者会見で「早急に検討したい」と述べた。

全面的には止めず、経済活動への影響を最小限にとどめる。政府が21日に開く対策本部で議論する。新型コロナウイルス感染症対策分科会や政府は以前から、感染状況の判断に使う4段階の指標で2番目に深刻な「ステージ3」に相当する都道府県は「Go To」事業から除外する方針を示してきた。

分科会は20日、「Go To キャンペーン」の運用見直しなど、これまでより強い対策を集中して打つことが重要との提言をまとめた。

国内では同日、新型コロナの感染者が午後10時時点で新たに2418人確認され、過去最多を更新。3日連続で2000人を超えた。東京が522人となったほか、大阪(370人)、北海道(304人)などで過去最多を更新した。

提言はいくつかの都道府県は「ステージ3」相当と判断せざるを得ない状況に早晩至る可能性が高いと指摘。こうした地域を「Go To トラベル」から外すよう求めた。

「Go To イート」も利用者にポイント利用を控えるよう呼びかけるなど、感染状況を踏まえた対応をとるよう政府から都道府県知事に要請してほしいとした。

尾身茂会長は専門家の見解として、「北海道の札幌地域はステージ3に入っているんじゃないかと判断している」と話した。「東京や大阪もステージ3に近づきつつある」との考えを示した。

分科会に先立ち、9都道府県が「Go To イート」に関し人数制限を設けることが分かった。東京都など8都道府県は、パーティションで分けるなど4人以下の単位で飲食する場合のみをキャンペーンの対象とする。

人数制限を設けるのは、北海道、埼玉県、千葉県、東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、沖縄県の計9都道府県。21日以降順次、テーブルを分けたりアクリル板を使ったりして利用客が「4人以下」となるよう飲食店に対応を求める。

日本経済新聞 2020年11月20日 22:31 (2020年11月21日 1:23 更新)
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO66517840Q0A121C2MM8000?s=5