ロックダウン(都市封鎖)のような方法(自粛要請等を含む)は、経済等の各方面に破壊的な
悪影響を及ぼすことが既に実証されており、これを際限なく続けたり、何度も繰り返したりする
ことは、実際上、極めて困難であって、長期的な対策として不適切なものというべきである。

長期的な対策という見地からすると、感染の拡大を防止するためには、@国民が危険環境を
理解した上で、A危険環境における感染リスクの高い行動に及ばないことが重要となる。

このうち、政府が行うべきことは、上記@のために必要な情報の提供(危険環境の周知徹底、
クラスター調査の結果に基づく具体的な危険環境の周知など)であって、上記Aについては
民主国家における公権力が個々の国民の行動を完全に制御することは不可能である以上、
個々の国民が自発的に行うことが基本となるから、その国民の民度が試されることになる。

もとより、政府は、上記の情報提供のほか、医療体制の維持整備、過度な萎縮効果を緩和するための
経済対策なども当然に行うべきであるところ、その国民の民度を信頼することができるのであれば、
国民を保護すべき客体とのみ見做して、公権力による介入で抑えつけるよりも、国民が自ら主体的に
適切な行動を選択できるようにするという観点からの対策が迂遠なようでも有効であると考えられる。