10月に始まり年末まで続く赤い羽根共同募金運動で、北海道内179市町村のうち89市町村が前年実績を上回っている。新型コロナウイルス感染拡大による景気低迷で苦戦が予想される中、地方都市を中心に善戦している。「困った時はお互いさま」を原点とするこの運動。人々の間にこうした温情が働いているとみられる。

北海道共同募金会が同月15日現在の状況をまとめた中間報告で明らかになった。

北見市共同募金委員会では、街頭募金で募金箱を首からぶら下げる例年のスタイルを改め、椅子に募金箱や羽根を置くなどして接触を極力避けている。大声での呼び掛けも行わず、ラジカセの音声を使う。例年募金を手伝う高齢者や子どもの団体が今年は参加できず、異例ずくめの募金活動となっている。

ただ、担当者は「大型スーパーなどの協力で行う街頭募金は密になるため断られるケースもあるが、大半は協力してくれている」と手応えを語る。また、「街頭では『大変そうだね』と寄付金を増額してくれる人がおり、企業への訪問でも快く応じてくれる人がいる。『今年は無理でも来年は協力する』と声を掛けてくれる事業所もあった」と話し、こうした人々の善意が苦境の中での善戦につながっているようだ。

■都市部で苦戦、目標にほど遠く

だが、全般的には苦戦を強いられる状況に変わりはない。札幌市や旭川市などの規模の大きい都市は前年を下回る。また、街頭募金も企業訪問も取りやめ、振り込み方式とした網走市も前年を下回る。美幌町では、感染拡大の影響でこの時期のイベントが全て中止となり、人の集まる場所での募金活動ができず苦戦が続く。

北海道共同募金会では初めてクラウドファンディングを導入するなどして目標額の達成を目指すが、12月1日から始まる「歳末たすけあい募金」も合わせた8億4800万円は程遠い状況だ。「赤い羽根」に続き同時に行われる「歳末募金」について、あるベテランの募金委員は「重ねて募金をお願いするのは心苦しい」と明かす。今こそ人々の善意が求められている。【本多竹志】

毎日新聞2020年11月30日 10時23分(最終更新 11月30日 10時23分)
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