「新型コロナウイルスの新規感染者数が増えたのは、トラベルじゃなくてイートが原因だよ」
観光庁の職員はこう言い放ち、続けた。

「いつもヤリ玉に挙げられるのは、予算規模が大きいトラベルばかり。問題が起きるたびに制度設計の変更で徹夜続きになる。
観光庁の担当職員のほとんどは、忙しさのあまり『Go To トラベル』を使ったことすらありません。使いたくても使えない」

トラベルの一部見直しについて、国と自治体が責任の所在を押し付け合っているのと同様、
省庁間同士でも責任のなすり付け合いが起きている。

「感染拡大の元凶」と批判を浴び、制度変更のたびに振り回されるのだから、
「見直しではなく、さっさとやめて欲しい」というのが職員たちの本音だ。

当初、「Go To」は全ての窓口が経産省になるはずだったが、下請けの電通に丸投げしたため、バカ高い中抜き経費が発覚。
国交省はトラベル、農水省はイート、経産省はイベントと商店街とそれぞれの省庁で分担することになった。

一方、特に飲み屋街が多い大阪市や札幌市でコロナの感染者数が急増した背景を、「飲み会で気が緩んだ」と指摘する医療関係者もいる。

予約サイト経由で「Go To イート」を予約するとポイントが加算され、全ての予算があっという間になくなり、
各都道府県で発売された「イート券」も大人気で売り切れが続出した。

一部の自治体の知事はこれ以上の感染拡大を防ぐべく、自身の判断で食事券の販売を停止し、飲食店に時短営業を呼び掛けた。

こうしたことから、観光庁内部では「なぜイートや農水省は批判されないのか」と、恨み半分の不満が渦巻いているというわけだ。
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