小惑星探査機「はやぶさ2」が地球の上空約12万キロから撮影した地球の画像。左上に日本列島が小さく写っている=2020年12月6日午前8時50分(JAXAなど提供)
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 「ただいま。帰ってきました」。探査機「はやぶさ2」が6年間52億キロの小惑星往復の旅を完遂し、小惑星リュウグウの試料が入ったとみられるカプセルがオーストラリア南部の砂漠に舞い降りた。相模原市の宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所で6日に開かれた記者会見で、津田雄一・プロジェクトマネジャーは「宇宙でも回収作業もパーフェクト。カプセルを開けるのが非常に楽しみ。採点するとすれば100点満点で1万点」と声を弾ませた。
 6日午前2時半ごろ、カプセルによる火球が観測され、着地が確認されると管制室に笑顔が広がった。津田さんは直後、「美しい大気圏突入だった。我々も感動している」と話した。

 豪州も新型コロナウイルスが流行中で、JAXAの回収メンバーも入国後、都市封鎖(ロックダウン)に遭遇した。さらに前日5日朝の現地は雨。しかしカプセル到着時間は快晴になって火球の観測ができ、回収作業も順調に進んだ。関係者は「天気も味方してくれた」と胸をなでおろした。

 日本の宇宙探査は、探査機「のぞみ」が火星への軌道投入に失敗、先代はやぶさはトラブル続き、探査機「あかつき」も金星への軌道投入に1度失敗するなど、難しさに直面してきた。だが、はやぶさ2は全て予定通り。国中均所長は「日本の宇宙探査が次のステージに上がった。この勢いを借り、今後の探査に挑戦したい」と意欲を語った。

 ただ、困難にも直面。リュウグウは岩だらけで、安全な着陸場所がどこにもなかった。津田さんは会見で「絶望のふちに立たされたが、工夫をすれば糸口は見つかる。『なせばなる』ということを学んだ」と振り返った。そして、「こういう日を迎え、こんなうれしい気持ちになるとは想像していなかった」と述べた。

 はやぶさ2は別の小惑星へ向かう際、宇宙に浮かぶ青い地球の撮影に成功した。津田さんは「『行ってきます、地球』という思いで撮影した。地表の植生を強調した画像を見ると、日本が小さく写り込んでいた。はやぶさ2は日本に手を振りながら離れていったと思う」と説明した。【永山悦子】

毎日新聞 2020年12月6日 20時24分(最終更新 12月6日 22時43分)
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