【ワシントン時事】アーミテージ元米国務副長官ら米国の知日派の超党派専門家は7日、中国を安全保障上の最大の課題と位置付け、「競争的共存」を目標に日米同盟の強化を促す報告書を発表した。米英など英語圏5カ国による機密情報共有の枠組み「ファイブアイズ」に日本を加えた「シックスアイズ」の実現に向け、日米が真剣に努力すべきだと提唱した。

 報告書は、共和党系のアーミテージ氏のほか、民主党系のナイ・ハーバード大特別功労教授らが執筆。アーミテージ氏らが報告書を公表するのは2000年以降5回目で、今回は菅政権とバイデン次期米政権が取り組むべき課題を取り上げた。

 報告書は、第2次大戦後に米英が立ち上げ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドに拡大した「ファイブアイズ」への日本の参加について、「同盟協力を深める機会」と位置付けた。北朝鮮情勢では、短期の非核化実現は「非現実的」だとの認識を示し、抑止力と防衛力強化による封じ込めに主眼を置くべきだと主張した。
 台湾問題に関しては、中国の台湾への軍事・政治的圧力に対する米国の懸念を日本は共有していると指摘。日米が協力して台湾の政治・経済に関与するよう求めた。
 経済技術協力をめぐっては、トランプ大統領が離脱した環太平洋連携協定(TPP)に米国は復帰すべきだと明記。また、次世代通信規格「5G」で、中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)に代わる選択肢を提供するため、日米が民間部門を支援する必要があると説いた。
 日本政府が検討中の敵基地攻撃能力の保有については「同盟の役割、任務、能力に関する大きな議論の一部であるべきだ」とし、日米間の緊密な協議の重要性を強調。また、「同盟は重荷ではない」と訴え、トランプ政権が大幅な増額要求の構えを示してきた在日米軍駐留費の日本側負担(思いやり予算)をめぐる議論を「リセット」し、早期に協議を終結させるよう促した。

時事通信 2020年12月07日22時10分
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