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この19世紀100年間を通じて傍若無人に、英國をして恣にその邪悪を専らならしめたことは、
世界人類のため誠に不幸なことであったと同時に、
英國彼自身にとりても亦悲しむべき凋落の運命を近き将来に約束することとなった。

彼はこのとき無反省無省察の病根に陥り、生命の従て精神の弾力性なき形骸となってしまった。

英國は大戦以後独自独個の力を以てしては到底従来の如き世界的指導力を専らにするを得ざるのみならず、
自己の既存勢力範囲も充分に確保し難きに至らんことを危惧し、
所謂国際連盟に依る集団的安全保障体制を形ち造り、
世界の現状維持を攪乱するものは即ち世界の平和を棄すものなりとの自分勝手なモットーの下に、
現状維持の利害の共通なる米國を始め仏ソ等と協同の態勢を張り
汲々として自己頽勢の挽回に必死の努力を払ってをるのである。