■炎上を起こすのは「たった1%」

 慶應義塾大学の田中辰雄教授と、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授が、
2014年に調査会社のインターネットモニター約2万人を対象に「炎上時の書き込み」について調査しました。

 その結果、炎上時の書き込み経験があったのは、わずか1.1%にすぎなかったそうです。
つまりは、炎上させているのはごく一部の人たちだけだということです。
その一部の人たちが何度もしつこく書き込むことで、あたかも多くの意見のようになってしまっているだけなのです。


 「ネット右翼」いわゆるネトウヨは、韓国人の国民性について「感情的」と批判します。
ネット上にはそうした書き込みがあふれています。
しかし、彼らの中に、実際に韓国人と話したことや、韓国に行ったことがある人はほとんどいないと思います。
もし、そういう経験があれば、自分の書き込みがいかに現実とかけ離れているのかに気づけるはずですから。

 彼らは、自分が何か具体的に迷惑を被ったわけでもないのに、有名人のちょっとした発言などをわざわざ探し出して怒りを爆発させているのです。
それにしても、相手を「感情的だ」と批判する書き込みをしつこく続けるという、その行動のほうがずっと感情的だと僕は思います。

 要するに、今のネットには「お金はないけれど時間は余っている」という暇人があふれているのでしょう。
2017年に、金融広報中央委員会が行った調査では、かなり衝撃的な結果が出ました。日本全国の20歳以上で、
かつ2人以上で暮らす8000世帯を対象に調べたところ、金融資産がゼロの世帯が31.2%を占め、しかも、収入がない世帯が60.7%もあったそうです。
(中略)
 一方、時間はあるけれど、その時間を有意義に過ごすためのお金がないと、ひたすら、ネットで関係のない人を攻撃して憂さを晴らしたくなるのかもしれません。
そういう一部の人たちが、自分で自分の怒りに火をつけ、狂ったように暴れているのが炎上現場です。

■「人の幸福」は「自分の不幸」

 ネット炎上がここまで頻繁に起こるのは、日本人の「国民性」にも原因があるのではないかと思います。
統計数理研究所が1953年から5年ごとに行っている「日本人の国民性調査」というものがあります。
その名のとおり、日本人の国民性の変化について長く分析を続けています。

アンケート形式のいくつかの設問の中で、毎回行われている「あなたは、自分が正しいと思えば世のしきたりに反しても、
それをおし通すべきだと思いますか、それとも世間のしきたりに、従った方が間違いないと思いますか?」というものへの答えを見ると、
日本人特有の気質が見えてきます。「おし通せ」と答える人の割合はどんどん減っているのに対し、「従え」は、毎回ほぼ変化することなく4割弱を占めています。

法律上は昔より個人の権利が拡大し、それなりに自由度が高くなっているはずなのに、
集団の中での「空気を読む態度」のようなものは、より厳しく求められているのかもしれません。

続きはソースで
https://news.yahoo.co.jp/articles/dfdd0ce57eac8fbdf3d2792beba97aa79f3c8278?page=1