兵庫県たつの市御津町釜屋の国道250号沿いに、いつでも新鮮な生ガキを購入できる日本初の自動販売機がある。今年は新型コロナウイルスの影響に加え基準超の貝毒検出と、シーズン初頭で出はなをくじかれたが、関係者は「既に基準値以下に収まっており、新鮮なカキを楽しんで」と呼びかけている。

 自販機と同じ敷地にあるカキ販売店「牡蠣(かき)屋」が運営。元々は有人の店舗だけだったが、オーナーの栄藤綾子さん(47)の夫が「自販機なら閉店時間を気にせず、いつでも購入してもらえる」と発案。2016年に設置された。

 購入方法は、自販機に代金を投入して隣の冷蔵ロッカーの鍵を取り出し、ロッカーを開けてカキを持ち帰る。鍵は紙パックのジュースに張り付けられて自販機に収まっており、栄藤さんは「おまけです」。鍵は使用後、回収箱に返却する。

 商品は入荷によって変わるが、ミックスサイズの殻付き1キロ(750円)をメインに2、3種類。朝、昼、夕に補充され売り切れ次第、終了する。営業時間内は、店舗でも同じ種類のカキを購入できる。

 今年はコロナ禍で客足が伸びない中、11月下旬にたつの市の海域で貝毒が検出された。16日に出荷規制が解除されたが、売り上げは昨年の半分以下の日が続いているという。栄藤さんは「当日に水揚げされたカキを用意している。癖がなくおいしいカキを食べてほしい」。店は3月末まで、自販機は5月上旬まで営業する予定。
【後藤奈緒】

https://mainichi.jp/articles/20201224/k00/00m/040/211000c