世界三大投資家・ジム・ロジャーズ氏が2020年にあえて買った金融商品5つ


コロナショック後、市場は大混乱している。先が見えにくい状況の中で、私たちは今後、お金や投資についてどんなスタンスを取るべきか。
シンガポール在住の世界三大投資家の1人に聞いた。


――この危機が起きている間、何かに投資をしましたか。

まず金と銀を買った。政府に対して人々が不信感を抱くときに、金や銀などの実物資産の価格は上がる。
私は2019年の夏から金を買い始め、それ以降も連続して買い続けている。私はもっと多くの人が金や銀に投資すべきだと思っている。

多くの人が加入している医療保険や終身保険は、できれば一生使いたくないものだが、入っていると安心できるものだ。
貴金属もポートフォリオの中で、そのような位置付けにあるべきだ。もちろん、タイミングが合えば大きな利益を生み出してくれる。

私は日本の田中貴金属で現物を買うのが好きだが、金や銀などはETF(上場投資信託)で購入する方法もある。

また観光と航空セクターはコロナで大打撃を受けて暴落しているので、割安に買うチャンスと考えている。
そんな意味でシンガポール航空の株を買った。空港の大部分が閉鎖されたことも投資のチャンスだと思うので、空港のサービス会社の株を買ってもいい。

数年後に私の考えが正解かどうかわかるだろう。

さらにロシアの運送会社の株を買い増し、中国のワイン会社の株も購入した。
航空会社と同じく、誰もレストランやホテルに行っていなかったのでワイン・酒や運送会社の株も暴落したため割安だと思う。

ポイントはどの会社が回復して大きく上昇するかを予測することだ。


――日本の働く女性は、今投資やお金についてどんな対策を取るべきでしょうか?

ETFなど、インデックスに投資をするほうが確率的にも勝ちやすいというデータがある。
私自身も日本株についてはETFを買っている。私よりお金を持っている日銀がETFを買っているからだ。

情熱を持って投資先のことを詳しく調べられるのであれば個別株もよいだろう。私は投資をするときに、
自分がよく知っている分野に投資すべきだと言ってきたが、それは在宅中に自宅で頻繁に運動をしているから、
オンライン・エクササイズ関連会社の株を買うという程度の知識ではない。もっと詳しく調査してからでないと投資するべきではない。

実は私は、ほとんどの時間、ただ座って相場の動きを見ている。何もしないことが最も重要な時期ということもあるのだ。
投資で成功するには、徹底的に調べて、あとは長期的に待つという忍耐力が大切なのだ。

また、日本の将来を考えると、英語や中国語など語学の勉強をして、海外に目を向けることも重要だろう。
こうした危機の時こそ現実から目をそらさず、少なくとも世界と市場に何が起きているかをよく調べて見守るべきなのだ。


ジム・ロジャーズ(Jim Rogers)投資家

米国アラバマ州生まれ。クォンタムファンドで4000%を超えるリターンを出し、37歳で引退後、世界を旅して回る。
『世界的な大富豪が人生で大切にしてきたこと60』(プレジデント社)など著書多数。
https://president.jp/articles/-/41066?page=3
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