毎日新聞2020年12月27日 09時30分(最終更新 12月27日 11時32分)
https://mainichi.jp/articles/20201226/k00/00m/040/112000c

 新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、「キャンパスライフ」の日常は戻るのか――。今月に入り、新年度の授業方針を発表する大学が相次いでいる。オンラインが主流だった首都圏の大学も対面中心に戻す動きがある。ただ、インターネットの活用や感染動向に応じた対応などは大学ごとに異なるため、来春入学する受験生にとっても大学を選ぶ際の大きな要素にもなりそうだ。

大教室の科目はオンデマンドで
 「2021年の春、1年ぶりにキャンパスで皆さんにお会いできることを、教職員一同、心待ちにしています」――。

 上智大は22日、曄道佳明学長のメッセージを大学ホームページに掲載し、来年度は対面授業を原則とすると発表した。今年度は春学期が完全オンライン、秋学期も実習など一部を除きオンラインだった。

 ただ、新年度も200人以上受講するような大教室の科目はオンデマンド形式(ネット上で講義資料や動画を配信し、好きな時間・場所で受講)とするが、同大の広報グループによると、ほとんどが対面に戻りそうだという。また、食堂などの施設利用や課外活動の方針も今後発表する。

今年度後期は関東の大学33%が遠隔授業に

今春の緊急事態宣言では、東京都内の多くの大学が構内を原則立ち入り禁止にした=東京都八王子市の東京都立大学で2020年4月9日撮影
 文部科学省が8〜9月に実施した調査では、今年度の後期授業のほぼすべてを遠隔で、と答えた大学は関東地方で33%に上った。つまり、3大学中1大学が対面授業をしていない。

 一方、北海道・東北は4%、中部▽近畿▽中国四国▽九州沖縄の4地域は12〜14%にとどまり、コロナ感染者が比較的多い東京など関東の大学のオンライン活用が際立っていた。

 今月に入り、東京経済大や帝京大、大東文化大などが来春から基本的に対面授業を実施する方針を発表した。中央大は対面参加できる授業の割合を5割以上確保するという。

専修大「1、2年生の対面増やす」
 大学生活に不慣れな新入生の対面授業を特に増やすという方針の大学も複数ある。

 専修大は今年度、「対面授業を実施してほしい」という1年生の要望が多かった。このため、来年度前期は1、2年生の対面授業の割合を増やすという。

 また、キャンパスに立ち入る学生数の上限を今年度後期から倍増し、1週間当たりの通学日数の目安は1、2年生は最低3日、3年生は2日、4年生は1日ほどになる見込みだという。

立教大「1年の言語系必修科目を対面に」
 立教大は新年度、「できる範囲で対面授業を展開し、オンラインも併用」の方針だが、演習、実験、実習のほか、全学共通科目の言語系のうち多くの1年次の必修科目も対面とする。

 ただ、基礎疾患があるなど重症化リスクが高い学生や、来日が難しい留学生には個別的に各大学とも配慮が必要になりそうだ。

明治大「基礎疾患のある学生や留学生に配慮」
 例えば、明治大は新年度、6段階(0〜5)の活動制限指針レベルを設ける。レベル1なら対面7割、オンライン3割にする方針だが、基礎疾患のある学生や入国できない留学生には「対面授業をオンライン配信するなどの配慮を図る」という。

未定の大学も 東大「オンライン終始は避けたい」
 来春の授業方針の決定に慎重な大学もある。ICU(国際基督教大)は「オンライン授業を続けながら対面授業を増やす」とし、その割合は未定だという。東京大は11月25日の副学長メッセージで「オンラインの方が高い教育効果を期待できる授業はオンラインで、対面の方が教育効果の高い授業は可能な限り対面」などとしたうえで「学期を通じて自宅でのオンライン受講に終始する学生が生じないようにする」と発表した。ただ、詳細は各学部などが授業開始の1カ月前までに発表するという。【まとめ・尾崎修二】