【2020年 あの事件と騒動の今を直撃】

「ウソみたいなホントの話」「うがい薬でコロナに打ち勝てるのではないか」――。大阪府の吉村洋文知事がこう切り出した2020年8月の「イソジン会見」。その直後、日本中からうがい薬が消え去った。

 吉村知事が「コロナに打ち勝てる」と胸を張ったのは、ポビドンヨード入りのうがい薬。会見以降、全国のドラッグストアや薬局では欠品が相次ぎ、同製品を扱う企業はてんてこ舞いだったという。発売元のひとつ「株式会社 明治」の広報担当者が当時をこう振り返る。

「会見を見て初めてうがい薬が話題に上っていると知り、まさに『寝耳に水』の状態でした。コロナへの衛生意識が高まっていた時期だったので、生産能力はギリギリ。会見以降は、供給能力が完全に追い付かなくなりました。店頭からうがい薬が消え、その対応に追われたのは、初めての経験だったと思います」

 買い占めを受け、大阪府には日本全国からクレーム電話が殺到。府によると、「会見が始まってすぐに、薬局から『大量に人が押し寄せてんねんけど、どないしてくれんねん』とお電話をいただいたこともありました」(健康医療総務課)という。

 会見内容が事前に中継した在阪テレビ局へ漏れていた疑いが指摘され、「インサイダー疑惑」まで飛び出した。しかし、府は「会見前から内容を漏らさないように気を使っていましたし、特定の放送局に漏らした事実もありません」(健康医療総務課)と否定した。

 吉村知事は、うがい薬の効果について、宿泊療養者を対象に「大規模研究をやる」と大ミエを切ったものの、会見から3カ月以上経った11月24日にようやくスタート。研究を進める「大阪はびきの医療センター」に、判明している成果などを問い合わせたが、「何かを申し上げる段階ではない」(事務局)と、とりつく島もなかった。

「イソジン会見」第2弾はまだまだ先になりそうだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20201230-00000009-nkgendai-life