新型コロナウイルスが猛威を振るったこの1年の終わり、年末年始の恒例行事も変化している。年越し、初日の出、初売り-。例年、茨城県内でも冬の風物詩となっているが、全国で新型コロナの影響が再び広がる中、いかに「3密」を回避するかが課題だ。関係者らは感染拡大防止に気を配り、知恵を絞っている。

■定休日返上

「年末年始に来たいと問い合わせが多く、定休日返上で営業している」。那珂川を見下ろす通年営業のキャンプ場「パシフィックリゾート」(常陸大宮市)の責任者、高安正人さん(48)は想定以上の予約状況に驚いていた。

2019年5月にオープンし、台風19号の被害による休業を経て、今年が初の年末となる。密集が避けられることも後押しし、キャンプブームは冬も継続。同キャンプ場ではサイトの間隔を広く取っており、感染症対策をしながら利用客を受け入れている。今冬は2〜4人の少人数や、1人で過ごす「ソロキャンプ」の利用が多いという。

ホームページでは「年越しキャンプ」の利用も呼び掛けた。31日からの1泊は最大で受け入れられる24組の予約が埋まった。たき火のレンタル道具も用意し、「冬一番の楽しみ方。たき火を囲って会話など楽しんで」(高安さん)などと新たな年越しを提案する。

■家でゆっくり

初日の出観覧にも、コロナの影響が出ている。水戸市笠原町の県庁では、感染拡大防止のため、1月1日早朝の25階展望ロビー開放の中止を決めた。午前10時からは通常開放する予定。

初詣や初日の出の人気スポットに行くのをためらったり、県内に帰省できなかったりする人などに向け、県のインターネット動画サイト「いばキラTV」では初日の出を生配信する。午前6時半〜7時15分を目安に、大洗海岸(大洗町)の神磯鳥居から昇る日の出を映す。予想時刻は同6時49分。県プロモーションチームの担当者は「感染拡大に気を付け、今年はゆっくり家で初日の出を見てもらえれば」と話す。

関東一早い初日の出が見られる筑波山頂。筑波観光鉄道(つくば市)は、初日の出早朝運行として、午前4時半からケーブルカーとロープウエーを運行。コロナ対策の一つとして乗車人数を制限する中、乗客を運びきれない可能性を考慮し、ロープウエーの始発は当初予定から30分前倒しした。

初日の出や初詣でにぎわう大洗町で、商工観光課の担当者は「極力日にちをずらし、密を避けて来てほしい」と訴える。町観光情報交流センター(同町桜道)内の「うみカフェ」は30〜1月3日も営業し、汁粉と甘酒販売で来訪者をもてなす。

■福袋に整理券

例年、開店前から行列ができる京成百貨店(水戸市)の初売り。営業政策部の糸井隆彦係長(37)は「(初売りの)1月2日は年間で一番集客がある日。今回は3密防止を最優先に考えている」と強調する。

福袋は年内に整理券を受け取り、年明け後の期間中に引き換える形にした。整理券配布の場所も、各ショップや、食料品など一部品目を集めた会場で分散させ、配布開始日も24、26両日に分けた。販売総点数は例年より少ない約350種1万3737点で、なくなり次第終了する。来店客の集中を避けるため、2日は通常通り午前10時半にオープン。例年は出入り口2カ所から順番に入店するが、来年は全11カ所の出入り口を開放する。寄席や落語、鏡開きなど人の集まる催しも見送り、コロナ対策に注力する。同店は、少人数での来店や、比較的混雑が解消される午後2時以降の来店などを呼び掛けている。

イオンモール水戸内原(同市)は、来店日を分散させて密を避けようと、29日から「福売り」と題した初売りを始めた。4日まで。期間中に福袋も販売するが、12月から事前予約も受け付けている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3841c26835c6ce6b63a57bb795f022ba0c0eecb4