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新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、東京都と周辺3県の知事が政府に要請した緊急事態宣言発令をめぐり、繁華街の飲食店では賛否が交錯しており、補償の充実を求める声も上がっている。

「まずは宣言を出して感染者を抑えてほしい」。3日、初詣客が行き交う東京・浅草で居酒屋「てつ」を経営する小山哲守さん(47)は、緊急事態宣言の再発令に理解を示す。

昨年4〜5月に緊急事態宣言が発令されて以降、店は赤字続きで経営は苦しい。マスクを外して会話をしている客も多く、小山さんは「店を開けている以上は客を入れないといけない。感染防止対策にも限界がある」と話した。

政府は都と周辺3県の知事に対し、飲食店に対する時短要請を午後8時までに早め、酒類の提供も7時までにすることなどを求めている。居酒屋「呑み喰い処 浅草なつの」を経営する夏野丈太郎さん(48)は「7時までしかお酒を出せないなら閉店しているのと同じだ」とため息をつく。

夏野さんはこれまで、都の時短要請など全てに応じてきたが、年末の書き入れ時にもかかわらず売り上げは3割程度に落ち込んでいる。「時短要請に協力したいのは山々だが、むしろ宣言を出して国の給付金をもらった方が経営的には助かる」と、補償の充実を要望している。

一方、横浜市中区の繁華街でバーを経営する男性(56)は「以前の宣言で苦しんだ飲食店経営者は多い。昨年同様に大した補償もなく、一律休業を要請するのであればとんだ茶番だ」と、2度目の宣言には納得できない様子だった。

東京・新宿にある居酒屋の男性オーナー(37)は「今は午後10時まで営業時間を短縮してやっているが、さらに時短を求められれば一時的に店を閉めることも考えなければならないかも」と表情を曇らせた。

2021.1.4 06:38
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