新型コロナウイルスの感染が急増するイギリスでボリス・ジョンソン首相は3日、各地の行動制限が近くおそらくさらに厳しくなるとBBC番組で述べた。最大野党・労働党はイングランド全域での行動規制を早急に実施するよう求めている。

BBC番組「アンドリュー・マー・ショー」でジョンソン首相は、行動制限の強化について問われ、「残念ながらおそらく、間もなくさらに厳しくなるかもしれない」と答えた。学校閉鎖も「望ましくないが」継続する必要があるかもしれないと述べた。

最大野党・労働党のサー・キア・スターマー党首は、24時間以内にイングランド全域の行動制限を強化するよう求めている。

スターマー党首は、新型コロナウイルスの感染拡大が「明らかに制御不能になって」おり、「今まで以上に学校を閉じなくてはならないのは避けがたい」と述べた。

イギリスでは3日も新たに5万4990人の新規確認が感染された。6日連続で、1日に確認される新規感染者が5万人を超えた。

加えて、ウイルス検査で陽性判定が出てから28日以内の人が、新たに454人亡くなった。「陽性判定から28日以内に死亡」という基準によるイギリスの死者は、計7万5000人を超えた。

ジョンソン首相はBBC番組で、事態は春までに改善するという自分の予測は変わらないとして、今後3カ月のうちに「数千万人」がワクチン接種を受けられるようになると期待を示した。

その上で首相は、「しかしそれまで今後数週間の間は、国内の多くの地域で今までより厳しい対応が必要になるかもしれない。私はそのことは完全に受け入れている」と述べた。

「おそらくこの国の人たちも、(より厳しい規制の実施を)受け入れるはずだと思う。というのも、ワクチンが大量に使えるようになるまでは、全員が同じ道具でこのウイルスと闘っているので」

首相はさらに、政府は冬に備えて「合理的に可能な措置はすべて実施した」ものの、感染力の強い新しい変異種が秋から広がり続けている現状は「合理的に予測できなかった」と述べた。

ジョンソン首相のインタビュー後に記者団を前にしたスターマー党首は、イングランド全域での規制強化を「ウイルス抑制の第一歩にしなくてはならない」と話した。

「追加規制が1週間後か2週間後か3週間後にあり得ると首相が示唆しても、役に立たない。そういう対応の遅れが、あまりにたくさんの問題を引き起こしてきた」とスターマー党首は批判。「首相が『そのうちやるが、まだやらない』などと言うのは、受け入れられない」と述べた。

学校再開については、イングランドのほとんどの地域で4日から小学校が再開されることになっている。一部の教職員組合や自治体が反対しているが、ジョンソン首相は再開方針を擁護した。

イングランド教育水準局(OFSTED)は、学校閉鎖は「あくまでも最低限」にとどめるべきだと主張している。

■地域別規制の現状

イギリス政府は昨年秋から、地域の感染状況に応じて行動制限を分ける「ティア(段階)」制度をイングランドで実施している。当初は3段階だったが、昨年12月31日にはさらに厳しいティア4(自宅待機)を導入した。

これによって現在、イングランドの人口の78%がこの「ティア4」下にあり、生活必需品を扱う店舗以外は営業を停止している。住民は特定の理由を除き、自宅を出ることができない。

スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相は3日、自治政府が4日に集まり、感染拡大を抑制するための「追加対策」を検討すると明らかにした。スコットランド全域(島しょ部を除く)は現在、独自の「レベル4」規制を実施中(一部の島しょ部は「レベル3」)。

ウェールズは昨年12月20日に全域でロックダウンを開始した。自治政府のマーク・ドレイクフォード首相は3日、これ以上どのような規制強化があり得るのか「考えにくい」と述べる一方、6日の閣議で規制ルールの微調整が可能か検討すると話した。

北アイルランドは12月26日に全域でロックダウンを開始。「自宅待機」などのさらに厳しい措置は2日に終了した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/429e7132fa9560bbb6d7cd190a2b8e8ec21523e7