新型コロナウイルスの感染急拡大で、政府が東京と埼玉、千葉、神奈川の1都3県に再発令した緊急事態宣言期間が8日、始まった。飲食店は営業時間の短縮を開始。間近に迫った成人式は、若者たちが感染抑止のカギとなるため、中止する自治体が相次いだ。一方、国内の新規感染者は8日、7800人を超え、4日連続で過去最多を記録した。
◆成人式、国のあいまい対応が振り回す
 成人式を巡っては、国のあいまいな対応が混乱を呼んでいる。
 横浜市は予定通り、成人の日の11日に成人式を行う。「市町村が判断する」という神奈川県の方針に従い、5日に開催を決めていた。国から、開催見合わせなどの明確な要請はないという。
 緊急事態宣言が出た7日、文部科学省から事務連絡があり、留意事項に「成人式はオンライン開催か延期を呼びかけてほしい」と記されていた。だが、市の担当者は「誰が誰に呼び掛けてほしいのか、意味が分からない」と困惑する。
◆文科省「自治体が判断」
 文科省の担当者に取材すると、「内閣府で出た話を示した。成人式開催の是非は、これまで通り自治体が判断すること」と説明し、誰が誰に呼び掛けたものか、判然としなかった。
 神奈川県内の式典開催自治体は横浜市、川崎市を含め約半数。相模原市の本村賢太郎市長は多くから開催を求められたとし、「一生に一度のイベントなので、対策を万全にしてやる」と述べた。
◆新宿、江戸川、渋谷、中野、豊島は延期や中止
 一方、東京都は自治体に中止やオンライン開催を依頼したため、8日に中止にかじを切る自治体が相次いだ。
 新宿区は7日の区内の感染者数が100人を超えたため、開催するかどうかの再検討を開始。吉住健一区長が西村康稔経済再生担当相に相談したところ、延期かオンラインを求められ、中止を決断した。
 江戸川区、渋谷区、中野区、豊島区も8日に急転直下で延期や中止を決めた。江戸川区は同日午後7時の時点でホームページで開催を告知していたが、この日の感染者数が100人を超え、半数が20代だったため「会場開催は会食を誘発しかねない」とオンライン開催に切り替えた。
 同区の大学2年生(20)は「中止」の連絡に「びっくり。今まさに友人と当日の待ち合わせ場所を決めていたのに。判断が遅い。当日会場に行ってしまう人もいるのでは」と話した。
 一方、東京都稲城市は「新成人にとっては一生に一度の記念だ」として時間を短縮して開催する。
◆さいたま市はオンラインに
 千葉県では、年が明けて菅首相が緊急事態宣言の検討を表明した4日から5日にかけて、浦安市など約10自治体が中止・延期を決定。9〜11日に式典開催予定の自治体は7市町村にとどまる。
 埼玉県では、さいたま市が5日に成人式をオンライン開催に切り替えると発表。県内では川越市、川口市、所沢市などが中止や延期を決めている。

東京新聞 2021年01月08日 23時46分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/78857