毎日新聞

新型コロナウイルスに感染したネコは、回復しても感染後4週間は肺に炎症が残ることを確認したと、河岡義裕・東京大医科学研究所教授(ウイルス学)ら日米の研究チームが、米疾病対策センター(CDC)の専門誌「エマージング・インフェクシャス・ディジージズ」電子版に発表した。チームは「ヒトの後遺症のメカニズムを解明する一端になる可能性がある」としている。
チームは新型コロナウイルスに感染した飼育中のネコ(生後15〜18週)を観察。ネコは無症状だったが、鼻や気管では感染6日目までウイルスの増殖が続いた。一方、肺では感染3日目にわずかにウイルスが確認されただけだった。しかし、病理解析で肺の炎症の有無を調べると、ウイルスが確認されなくなった感染10日目のネコも炎症があり、4週間経過後も慢性化した炎症が残っていた。

 ヒトの場合、季節性インフルエンザウイルス感染で長期的な肺の炎症は起きないとされるが、新型コロナでは、呼吸機能の低下など後遺症が疑われる事例が多数報告されている。河岡教授は「自覚症状がなくてもCT(コンピューター断層撮影)検査で肺に病変が見つかるケースがある。ヒトの場合も感染による炎症が長期的に続いている可能性がある」と話す。

 また、感染から4週間が経過したネコは、回復後再びウイルスにさらされても、鼻や気管からウイルスが検出されなかった。免疫ができて、ウイルスを防御できるようになったためとみられる。【岩崎歩】

https://mainichi.jp/articles/20210114/k00/00m/040/069000c