京都新聞

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、発熱やせきの症状がある「コロナ疑い」の患者が119番後に救急搬送先が決まるまで、時間を要する事案が京都市内で急増している。市消防局によると、今月11〜17日の1週間で37件に上り、昨年3月以降で最多となった。病床の逼迫(ひっぱく)で医療機関の受け入れが難しくなりつつある現状が浮かぶ。

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 受け入れ先が決まらないケースは「搬送困難事案」とされ、医療機関に受け入れ可否を4回以上照会し、救急隊の現場到着から搬送開始までに30分以上かかったケースを指す。

 同局によると、発熱やせきなどの呼吸器系の症状があるコロナ疑いの搬送困難事案は昨年12月7〜13日の1週間で2件だけだったが、年末年始の12月28日〜1月3日は15件、4〜10日は20件、11〜17日は37件など5週連続で増加した。今月は医療機関から15回断られ、搬送までに約2時間かかったこともあるという。

 さらに、受け入れ先の医療機関が最終的に見つからず、患者が搬送を辞退した「不搬送」も今月に入って1件あったという。

 新型コロナの陽性判明後の自宅療養中に容体が急変して119番した場合、市消防局は府の入院医療コントロールセンターと調整した上で搬送先を探すため、受け入れ先が見つかりやすい。だが、新型コロナと判明していないケースでは同センターが介在しないため、搬送先が見つかりにくいという。

 一方、コロナ疑い以外の患者の搬送困難事案も増えており、1月11〜17日の週は68件に上った。同局救急課は「病床の逼迫によって他の病気やけがの患者の受け入れも難しくなりつつある」と危機感を示す。

 京都府と京都市は発熱などコロナが疑われる症状があった場合、まずは身近な病院か診療所、「きょうと新型コロナ医療相談センター」に電話するよう呼び掛けている。

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