読売新聞

 虐待などで親元を離れた子どもを預かり育てる里親制度は、成長に良い影響を与えることが期待でき、国はなり手を増やすことに力を入れている。一方で、里親による虐待(性暴力含む)も2009〜18年度に計100件起きており、制度の推進と被害の予防をいかに両立させるかが課題だ。

 里親は特別養子縁組と違って法的な親子関係はない。希望者は研修などを経て、自治体の里親名簿に登録される。登録数は19年3月現在、約1万2300世帯。うち約4300世帯が約5500人の子どもを預かる。国は家庭に支給する「里親手当」を20年度から増額し、担い手の増加を目指す。

 被害予防では、児童虐待の前科の有無を登録前に確認している。事前に面接もしているが、柏女霊峰(かしわめれいほう)・淑徳大教授(子ども家庭福祉学)は「数回の面接で希望者の適性を見抜くのは難しい」と語る。

 柏女教授は「子どもを預かった後の支援が大事になるが、役割を担う児童相談所は虐待の一時保護の負担が増している。都道府県などから支援業務を委託されている民間団体の立場を法的に明確化し、業務内容を充実させる必要がある」と指摘する。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20210119-00050095-yom-soci