0001ニライカナイφ ★
2021/01/21(木) 21:35:52.60ID:bcHegO4m9サイトカインの一つ、インターロイキン-6を人工的に合成し、ハイパーインターロイキン-6という融合タンパク質を作り上げ、神経細胞を刺激したところ、根治が難しい神経線維の軸索(じくさく)が修復したという。
■ 根治が難しい軸索損傷と有望な治療法
脊椎の損傷は、体への影響が特にはなはだしい大怪我だ。神経細胞のもつ突起「軸索(じくさく)」という部分がダメになってしまうと、脳と筋肉との間で信号を送受信することがきなくなり、手足は動かなくなってしまう。軸索は再生しないので、治る見込みは薄い。
だが、最近では脊椎刺激療法や神経細胞の抑制・興奮シグナルのバランスを回復させる化合物など、麻痺してしまった手足を回復させることが可能になるのではと期待を抱かせてくれる研究成果もいくつか報告されている。
https://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/f/e/fe92177a.jpg
■ デザイナー・タンパク質で神経細胞が再生
今回、ドイツ・ルール大学ボーフムのグループは、そうしたものとはまた別のアプローチで麻痺の治療に挑んでいる。
本来なら治らないはずの壊れた軸索を「ハイパー・インターロイキン-6(hIL-6)」というデザイナー・タンパク質で修復しようというのだ。インターロイキン-6はサイトカイン(細胞から分泌される低分子のタンパク質)の一つなので、デザイナー・サイトカインともいえる。
"デザイナー”と呼ばれるのは、自然に生成されるインターロイキン-6を人工的に合成したものだからだ。もちろん単純に合成したわけではなく、神経細胞の再生を刺激するよう工夫がほどこされている。
今回の実験では遺伝子治療に適したウイルスが用いられ、「hIL-6を生産せよ」という遺伝的な指示を与え、脊椎が完全に損傷して後ろ足がまったく動かなくなったマウスの脳の感覚運動皮質に投与された。ウイルスは、hIL-6生産のための設計図を運動ニューロンに送り込む。
すると投与した部位の運動ニューロンがhIL-6を作り始めただけでなく、その指示は軸索の枝を伝って通常なら届かない重要な神経細胞にまで引き渡されたという。
そのおかげで、たった1度だけの注射だというのに、数週間もするとマウスの後ろ足は動くようになり、再び歩けるようになったとのことだ。
研究グループのディートマル・フィッシャー氏によると、ほんのいくつかの神経細胞にこの遺伝子治療をほどこしただけで、さまざまな神経細胞の軸索と脊椎の運動を担う経路の再生が同時に刺激されたのだそうだ。
■ 怪我から時間が経過していても効果はあるか?
研究グループの次のテーマは、脊椎を損傷してから直ちに治療を受けるのではなく、ある程度時間が経過してからでも同じような効果があるのかどうか確かめることだそうだ。
人間でも同じことができるかどうかはまだ分からない。しかしそれまで10年かけて開発していたワクチンをたった1年で完成させた人類だ。案外近い将来、体の麻痺が過去の病になるなんてこともあるかもしれない。
この研究は『Nature Communications』(1月15日付)に掲載された。
http://karapaia.com/archives/52298524.html