2019年7月の参院選をめぐって公選法違反の罪に問われた参院議員河井案里被告が有罪判決を受けたことについて、菅義偉首相は21日午後、判決には直接触れず「政治家は一人一人国民の付託を受けて、国民から疑念を抱かれないように襟を正して活動をしていく。このことが大事だと思う」と述べた。記者団から判決への感想と再発防止策を問われたのに答えた。
 菅首相は「行政の長として、個別事件の裁判所の判断について、所感を申し上げるべきじゃない。このことは当然のことだ」と説明。その上で「政治家は襟を正して行動をしていくことが大事だ」と述べた。
 さらに自民党本部から案里議員側に1億5000万円の資金提供をしたことについて再調査の必要性を問われると「総裁になって、報告を受けてます。党で所定の手続きを得た上でルールに基づいて交付されております。そういうことでありました」と説明。
 さらに 「再調査の必要はないという考えか」と重ねて問われると「党でそういう手続きを得て、交付されたということでありました」と答え、再調査については触れなかった。
 また判決に先立ち行われた21日午前の参院本会議の代表質問でも、立憲民主党の水岡俊一氏が、参院選で案里議員の応援に入った菅首相の責任や、桜を見る会前夜祭で国会で誤った答弁をした問題をただした。
 菅首相はここでも案里議員に直接言及せず「政治資金については、法令にのっとって取り扱わなければならないことは言うまでもない。政治家はその責任を自覚し、国民に疑念をもたれないよう、常に襟を正すべきものと考えております」と答えた。案里議員の問題や再発防止策について直接触れない答弁に、議場からは「えー」と非難の声が上がった。

東京新聞 2021年01月21日 18時32分
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