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『水子の譜―引揚孤児と犯された女たちの記録』

「引揚げの途中である村を通過する際に人質を出すという。人質に選ばれて強制されて行く。

佐賀県の療養所で働いていた福士さんのことば

「兵隊同士が女の居所について情報を交換し合っていたらしく、
『移動のたびに新しい兵がやってきて…』 と両親は泣いていた。その結果娘さんは妊娠してしまったわけでね」

田中さんは両親から、娘をどうかもとの体にもどしてくれないかと泣きつかれた。
この親の申し出に、田中、泉氏ら救療部の人は、どう対処していいか迷いに迷ったあげく、
とりあえずこの教え子の堕胎手術にふみきった。

暴行したのはソ連軍の兵士である。

「北朝鮮に進駐してきたソ連兵は、長い戦争の間、極端な耐乏生活をへてきただけに、
戦禍にさらされていない朝鮮で目にうつるものは何でも欲しがった。

特に最初に進駐してきたソ連軍は戦闘部隊であるだけに、粗暴なものが多かった。
ひどいのは六十三歳になる老婆さえ暴行を受けました。

暴行されて妊娠していることを苦にした別の女性が、海に飛び込んで自殺する事件も起きていた