名古屋市は25日、重症者の救急搬送に時間がかかり、搬送中に心肺停止になる事例が2件あったと発表した。
市は新型コロナウイルス感染者が増え、医療機関の救急の受け入れが難しくなっていることが背景にあるとみている。

 市によると22日午後8時ごろ、70代女性の家族から119番通報があった事例では市内の8医療機関に計11回受け入れを要請したが、
ベッドが満床であることや対応できるスタッフがいないなどの理由で受け入れを断られた。
その後、市外の医療機関に搬送した。救急車の出動指令から医療機関に到着するまで1時間9分かかった。

24日午後7時ごろ、60代男性から119番通報があった事例では市内の10医療機関に計11回受け入れを依頼したが、
同様の理由で断られ、市外の医療機関に搬送した。出動指令から医療機関への到着までに1時間6分かかったという。

 いずれも搬送先が決まるまで30分以上かかり、搬送中に患者が心肺停止の状態になった。搬送先が決まるのに時間がかかり、
患者が心肺停止になった例は初めてだという。市はその後の患者の容体を明らかにしていない。
2019年、患者の救急搬送にかかった時間は平均30・3分だったという。

 患者の受け入れを依頼した市内の医療機関はいずれも新型コロナ感染者を受け入れている病院だった。患者は感染者や感染疑い例ではなかったという。
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