新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が、大阪、兵庫、京都の関西3府県に発令されてから28日で2週間を迎えた。各地の新規感染者数は減少しつつあるが、依然として高い水準で推移。医療体制の切迫や死者数の増加も深刻化している。政府が宣言の期限とした2月7日が10日後に迫る中、宣言解除の見通しは立っていない。

 「新規感染者が300人を(安定的に)下回るかが基準の一つになる」。大阪府の吉村洋文知事は27日の記者会見で、政府への解除要請の目安に言及した。政府は各自治体の意向を踏まえて解除を判断する方針を示している。


 府内では、宣言が発令された14日の直近1週間平均の感染者数は545人だったのに対し、28日は395人まで減少した。府は飲食店に対する時短要請の効果を強調するが、300人を下回ったのは25日(273人)のわずか1回だけで高止まりが続いている。

 人口10万人当たりの感染者数は34人(26日現在)で、政府分科会の指標で最も深刻な「ステージ4(感染爆発)」の基準を超過。兵庫(27人)と京都(32人)も上回っている状況だ。

 ある府幹部は休業などより強い措置を要請した昨春の宣言との違いを挙げ、「パチンコ店や映画館も休館しておらず、春ほど人出を減らすのは無理。未知の部分が多かったコロナへの恐怖心も、若者を中心に薄れている」と分析する。「出勤者数の7割削減」を経済界に呼びかけているが、中小企業が多くテレワークの活用が進まないという。

医療体制の切迫状況続く
 医療体制も依然として切迫状況が続き、兵庫では確保にめどがついた全病床の使用率は77%(26日現在)で、大阪(75%)や東京(71%)を上回る。京都では自宅待機中だった80代女性ら2人の死亡も判明。井戸敏三兵庫県知事は27日の会見で、「(患者の)減少傾向が定着しなければ、宣言延長が視野に入るのではないか」と語った。

 重症化リスクが高い高齢者を中心に感染者の死亡も急増。大阪では1月に既に300人以上が亡くなり、月別死者数は3カ月連続で過去最多を更新している。

 大阪府の専門家会議委員を務める茂松茂人・府医師会長は、高齢者世代の感染拡大で長期入院を余儀なくされる患者が増えていると指摘。「対策を緩めて再び感染者が増えてしまったら、いよいよ医療現場はもたない。要請に伴う補償はしっかりと考えた上で、徹底した対策を続けるべきだ」と宣言の延長を訴えた。【芝村侑美、石川将来、反橋希美】

兵庫知事「3知事で統一見解示す」
 関西広域連合は28日、緊急事態宣言後初の対策本部会議を大阪市内で開き、各地の感染状況を情報共有した。兵庫県の井戸敏三知事は会議後の記者会見で、宣言の延長や解除に対する関西3府県の意向について「3知事で協議し、統一見解を示せるようにしたい」と述べた。大阪府は来週に開く対策本部会議で府の方針を決める予定。【上野宏人】

毎日新聞 2021年1月28日 19時08分(最終更新 1月28日 19時08分)
https://mainichi.jp/articles/20210128/k00/00m/040/197000c