総務省幹部4人が衛星放送関連会社に勤める菅義偉首相の長男から接待を受け、タクシーチケットなどを受け取ったとの疑惑をめぐり、同省に動揺が広がっている。国家公務員倫理規程は、利害関係者から会食費を負担してもらったり、金品を受け取ったりすることを禁じており、関係者は「完全に違反だ」と指摘。省内では処分は避けられないとの見方が出ている。

 会食に参加したのは、谷脇康彦、吉田真人両総務審議官と秋本芳徳情報流通行政局長、湯本博信官房審議官。いずれも旧郵政省採用で、放送行政や通信行政を所管する立場だ。
 週刊文春の報道によると、首相の長男は、衛星放送チャンネルを運営する会社の役員で、放送の許認可権を持つ総務省の利害関係者に当たる可能性がある。
 国家公務員倫理規程は、利害関係者との会食について、自ら飲食代を負担する場合でも1万円を超えるときは倫理監督官への事前の届け出が必要としている。湯本氏を除く3人は1万円を超える会食だったことを確認し、文春報道直前の2日に届け出た。4人は飲食代やタクシーチケット代などの自己負担分も支払ったという。
 吉田氏は取材に「調査中なのでコメントできないが、反省すべきは反省したい」と回答。谷脇氏は「広報に問い合わせてほしい」と述べた。同省は、4人から聞き取りを進め、事実関係の確認を急いでいる。
 同省では2019年12月、かんぽ生命保険の不適切販売問題への行政処分をめぐり、当時の鈴木茂樹事務次官が日本郵政に情報を漏らしていたとして、更迭される不祥事があった。許認可や行政処分の対象となる団体や企業との節度ある関係が求められるさなかでの新たな疑惑に、職員からは「組織風土を根本から見直す必要があるのでは」との声も漏れる。

時事通信 2021年02月04日20時31分
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