2021年2月9日 19:46

自動車用バックミラー大手の村上開明堂は、宙に浮いた画像や映像をタッチパネルのように操作できる技術を実用化した。感染症対策で非接触へのニーズが高まるなか、トイレやATM、エレベーターなどでボタンとしての利用を見込む。ぬれた手でも操作できるキッチン向けテレビのような使い方もできるとみている。2022年度の量産開始を目指す。

何もない空間上に仮想のタッチパネルを浮かび上がらせ、近づけた指を赤外線センサーで検出。その位置に応じて操作内容を判別する。文字やスイッチ類の配置を変更したり、任意の動画を流したりすることも簡単にできる。画面と指の距離は数センチメートルだが、設定次第で自由に変えられ、搭載機器が大きければ大きいほど離せるという。

スタートアップのパリティ・イノベーションズ(京都府精華町)の特殊なミラーを活用した。裏側に配置した液晶で画像や映像を映し出すと、微細なブロック状の鏡によって空中の一点に光が集まり結像する仕組みだ。低コストで鮮明に浮き出させることができるのが強みで、村上開明堂のソフトウエア技術と組み合わせることで実用化した。

まずは温水洗浄便座の操作パネルでの採用を狙う。手をかざすだけで水を流せる機能は現在もあるが、「お尻を洗う」などの機能を使う際はボタンを触らざるを得ない。この技術を使えばパネルに接触せずに水の勢いや便座の温度なども操作できるようになる。すでに複数の便座メーカーと試作を進めており、順調なら22年度に操作パネルの量産を始める。

村上開明堂はこうした「空中浮遊スイッチ」の応用範囲は広いとみている。例えば不特定多数が触れるATMのテンキーやエレベーターのボタンからの置き換えだ。キッチンでスマートフォンのレシピを見ながら調理する人向けの映像装置も考えられるという。非接触のため手がぬれていてもレシピや調理映像を自在に操作できる。こうした使い道を各社に提案するなどして採用を広く働きかけたい考えだ。

■非接触に注目、実用化に弾み
     ===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFB054MN0V00C21A2000000/