https://news.yahoo.co.jp/articles/1e259c9f1fbabaad0a3516767a3e1695e307cea6
トランプ前米大統領は反乱を扇動したにもかかわらず、その結果とほとんど向き合うことなく現在に至っている。
こうした中、上院議員らは自分たちの憲法上の責務を果たし、公平な陪審員として弾劾(だんがい)裁判に臨まなくてはならない。そこに一切の懸念は無用だ。
弾劾の手続きを違憲だとする見方がくすぶっているが、我々はこれを根拠のないものだと確信している。

米下院は先月13日、当時のトランプ大統領の弾劾訴追決議案を232対197の賛成多数で可決した。
弾劾に賛成した議員らも、上院がトランプ氏の退任前に裁判を終えることはできないだろうという認識はあった。
しかしながら民主党と共和党の議員がともに理解していたのは、いかなる大統領も、所属政党に関わらず、同等の権限を持つ統治機構に対して
反乱をあおった責任を免れるべきではないということだ。
とりわけその時連邦議会では、憲法上の義務として大統領選の選挙人投票の集計を承認する作業が行われていたのだからなおさらである。
※略

大統領がすでに退任しているという理由で裁判を開かなければ、その結果、次のメッセージを発信することになる。
いかなる政府当局者も、弾劾に相当する違反を退任直前に犯すならば責任を逃れられるというメッセージだ。

弾劾裁判は、単に職位を剥奪(はくだつ)するためのものではない。今回のケースで現実的にそれが果たせないことは我々も認める。
ただこの裁判によって、議会は大統領に自らの行為の責任を取らせることができる。
有罪評決が出れば、連邦政府の職に就く資格を永久に剥奪するかどうかを問う追加の決議にも進める。
要するに、弾劾の手続きとは警告なのだ。当局者はトランプ氏が働いたような悪事を将来繰り返すことができない。もし繰り返せば必ず重大な結果に直面する。
それを伝えることができるのだ。

共和党の元上院議員である我々が、先月26日に弾劾裁判に反対する票を投じた45人の同党上院議員に失望し、懸念を抱いたのはこうした理由からだ。
彼らは「公平な裁きをする」と宣誓しながら、裁判自体の合憲性に異議を唱える動議への賛同を表明した。
議会はその義務を回避することなく、行政府の権力乱用に歯止めをかける存在として機能しなくてはならない。
※略

はっきりさせておくが、我々は合衆国憲法が、当局者が退任した後も上院が弾劾裁判を実施できると明確に認めていると確信している。
そしてそう考えるのは我々だけではない。党派に属なさい米議会調査局(CRS)が明記したところによれば、
「この問題について綿密に調査した学者の大半は、議会にはすでに退任した当局者に弾劾手続きを広げる権限があるとの結論に達した」という。
さらには、政界のあらゆる立場に属する法学者150人以上も、最近署名した公開書簡で次のように結論した。
「合衆国憲法は退任後の当局者の弾劾、有罪評決、資格剥奪を認めており、ここには大統領も含まれる」。
書簡には保守的な法律団体フェデラリスト・ソサイエティーの共同創設者やメンバーも名を連ねている。

加えて、上院が退任後の当局者を弾劾裁判にかけた実際の前例もある。1797年、ウィリアム・ブラウント元上院議員に対し下院は反逆罪による
弾劾訴追決議案を満場一致で可決。引き続き上院が弾劾裁判を実施した。この時ブラント本人は上院から追放されていたにもかかわらずだ。
上院は1876年にも、元陸軍長官のウィリアム・ベルナップの弾劾裁判を行った。収賄の罪だったが裁判の時点でベルナップは長官職を辞任していた。
※略

法律の専門家の間での合意と、歴史的な先例が存在することを考えると、前出の共和党上院議員45人が今回の裁判の合憲性について本当に懸念を抱いているとは信じ難い。
むしろ、手続き上の問題の陰に隠れて投票を回避しようとしている議員もいるように思われる。
有罪票を投じれば、トランプ氏の最も忠実な支持者たちを怒らせることになるからだろう。
しかし今は、選挙の結果を憂慮する時ではない。
共和党が将来にわたり、1人の人物に依存するわけにはいかないのだ。共和党議員たちは党の原則を守り、良心に従って投票しなければならない。
※略

トランプ氏がもはや大統領職に就いていないとか、基本的に裁判が違憲だと思うからといった、ただそれだけの理由で無罪の評決を下すべきではない。
トランプ氏の説明責任を単なる法解釈で見逃すなど、あってはならないことだ。