東京五輪・パラリンピックを安全に開催するため、選手ら参加者が新型コロナウイルスのワクチンを
接種することが重要な前提になると関係者は考えている。

しかし現実には、高齢者ら優先すべき人々にさえワクチンが行き渡っていない国がほとんど。
今夏の大会までに希望する選手全員が受けられる見通しは立たない。

安全性をアピールしたい国際オリンピック委員会(IOC)にとって、接種を求めることはジレンマになっている。

IOCのバッハ会長は、ワクチン接種は弱者や医療従事者らを優先すべきだとした上で、
「参加者は全員、開催国の日本や他の参加者との連帯を示す行為として、提供された場合はワクチンを推奨する」と訴える。
費用はIOCが負担すると明言し、強制はしないものの接種を強く求めている。

欧州では既にハンガリーやセルビアで選手への優先的な接種が始まったが、こうした動きは限定的。
米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)によると、ドイツとオランダは選手を優先しない方針だ。

五輪は世界的なイベントとはいえ、世論の反発を招きかねず、各国政府は慎重にならざるを得ない。
日本も同様で、大会組織委員会は接種を義務付けておらず、日本オリンピック委員会(JOC)は国などに選手への優先的接種を求めない方針を示している。 

英オックスフォード大研究者らのデータベース「アワー・ワールド・イン・データ」によると、
国民100人当たりのワクチン接種率が50%を超えるのは、15日現在でイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)などごく少数。

途上国や低所得国では、接種開始の遅れが懸念されている。
IOCは代表選手が日本に入る前に自国でワクチン接種することを支援するとしているが、普及には時間がかかっており、具体策に踏み込めていない。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021021701022&;g=spo#:~:text=%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3