https://static.tokyo-np.co.jp/image/article/size1/b/8/f/3/b8f317a707e8101189acc6afed43bd66_1.jpg

ニチイ学館206人の契約更新せず フィリピン人女性48人が所在不明 家事支援事業で来日 国・都が調査
https://www.tokyo-np.co.jp/article/89688

 内閣府の国家戦略特区で家事支援従事者として就労を認められ、来日したフィリピン人女性206人が、雇い止めや自己都合退職により、大手医療介護人材派遣会社「ニチイ学館」(東京都千代田区)から契約更新されず、うち48人の所在が把握できていないことが同社の調査で分かった。4日、内閣府や都などで構成し、受け入れ事業を管理する第三者管理協議会が当事者から聞き取りを始めた。(望月衣塑子)

 国の指針では本人が在留を希望する場合、雇用主は新たな受け入れ先の確保に努めるという規定があるが、同社は女性らに意向確認や別の職場の紹介をしていなかった。

 第三者管理協議会は、この日、フィリピン人女性らから、辞めるに至った経緯や現在の状況、就労希望などを聞き取った。

 女性らは「当初、3年の就労と言われてきたが、2年で契約更新はないと言われショックを受けた」などと答えたという。

 高齢者の介護や家庭の掃除など家事支援の仕事をする目的での外国人の入国は、入管難民法で原則認められていない。ただ、東京など特区に定められた1市5都府県では、国家資格取得など一定の条件を満たせば、在留資格を認めている。

 ニチイによると、2018年2月から事業を開始し、19年3月末で632人、20年3月末は695人のフィリピン人女性を受け入れた。21年3月末は、489人が契約更新される見込みだが、206人が退職した。自己都合の退社もあるが、一部は雇い止めだという。

 ニチイは契約更新しない旨を女性らに告げた際、別の企業への斡旋はせずに帰国を求めたという。

 同社によると、98人は帰国。日本に残った108人のうち、48人の所在が把握できていない。契約更新されなかった女性は「家政婦としての勤務で顧客や会社の苦情は一つもなかったが、日本語の試験に落ちたからと契約解除を通知され、他企業への斡旋も全くなかった」と明かす。

 同事業で同様に受け入れをする大手5社に取材したが、雇い止めや所在不明者があると回答した社はなかった。

2に続く