https://news.yahoo.co.jp/articles/ed445e7a16022462d2f12ce485eb2fb0a744f6c3
米国のバイデン新大統領が1月20日、就任演説で国民の結束と国際協調を呼びかけた。

トランプ前政権と激しく対立してきた中国の対応が注目される中、習近平国家主席は1月25日、オンラインの国際会議で演説し、多国間主義を強調した。バイデン政権に関係改善の用意があることを示唆したと受け取られた。

 ◇激化する権力闘争

だが、中国の実情を見ると、すぐに対米交渉に入れるような余裕はない。共産党内の権力抗争が激化し、習主席の党内統治力が不安定になってきたからだ。

オンライン国際会議の前日、党中央規律検査委員会の全体会議が終わった。

ここで習主席は「一部の腐敗利益集団が国家権力を盗み取ろうとしている」「政治と経済の絡んだ腐敗が党と国家の安全に脅威となっている」「面従腹背の二面人間を厳重に取り締まれ」など、かつてない激しさで党内反対派に対する弾圧を指示した。

また「政治三力」(政治的判断力、政治的理解力、政治的執行力)を強調し、習政権への忠誠を迫った。

さらに習氏は1月28日、党中央政治局会議で改めて「政治三力」による党中央への忠誠を全党員に迫り、「『一把手(イパショウ)』(組織のトップ)に対する監督を強化せよ」と述べた。

「一把手」と言えば、中央直轄市・省・自治区の党委員会書記を指すことが多い。

習氏が政権を握った時にはライバルの薄煕来・重慶市党委書記などの「一把手」が逮捕されている。党内には来年の第20回党大会に向けた地ならしの反対派粛清が起きるのではないかという不安が一気に広がった。

政治局会議の翌日、衝撃的なニュースが流れた。

国有企業の不良資産を処理する資産管理会社「華融資産管理」の「一把手」、ョ小民・元会長の死刑が執行された。

ョ氏は江沢民派(上海閥)の大幹部、曽慶紅・元国家副主席(上海閥、江西閥、石油閥)と同郷の江西閥で、金融界の大物の一人。巨額の収賄や多重婚などの罪で起訴され、1月5日に1審で死刑判決が出てから、控訴棄却、死刑執行までわずか24日だった。


(略)