2021年3月8日 5時0分
読売新聞オンライン

 電気自動車(EV)などに使う車載用電池を安定的に生産・供給するため、官民を挙げた取り組みが始まる。

 国内の関連企業約30社が新たな協議会を設置し、経済産業省と連携して戦略を練る。電池分野で中国の存在感が高まる中、国際的な競争力を強化する狙いがある。

 4月にも一般社団法人「電池サプライチェーン協議会」を設立する。電池製造大手GSユアサや、トヨタ自動車とパナソニックの合弁会社「プライムプラネットエナジー&ソリューションズ」、原材料を供給する住友金属鉱山など、幅広い関連企業が参加する。

 車載用電池はEV生産コストの約3割を占める基幹部品。協議会では、ニッケルやリチウムといった原材料の調達、電池の生産・供給を効率よく進めるため、協力体制を検討する。経産省と連携し、リチウムなどの希少金属の精錬やリサイクルのルール作りも目指す。

 背景には、車載用電池のシェア(市場占有率)で首位に立つ中国の存在がある。かつて日本勢が先行していたが、2019年時点では中国が4割を占め、首位に立っている。中国は希少金属を多く保有しており、リチウムの加工方法の国際標準化も目指している。

 世界的な「脱炭素」の流れを受け、自動車大手は相次いで電動車の投入計画を発表している。車載用電池の需要も急速に伸びると見込まれる。日本企業は連携して希少金属などの原材料を安定的に調達し、電池の生産拡大につなげる。
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