この1年あまりの政治家の「ワースト性差別発言」に、ネット上の投票で、自民党の杉田水脈衆院議員の「女性はいくらでもウソをつける」発言が選ばれた。昨年9月、党本部の会合で性暴力被害者支援に関して述べたもので、「やっとの思いで性被害を申告した人に対して、あまりにも心無い言葉だ」などの批判の声が多く集まった。

 ネット投票は、政治家などから差別発言が繰り返される現状を変えたいと、大学教授らで作る「公的発言におけるジェンダー差別を許さない会」が2017年から実施している。今回で4回目で、国際女性デーの8日にあわせて結果を発表した。

 2月26〜今月5日、8件のノミネートに対し、3044人が最大2票ずつ投票。計6031票のうち、杉田氏は1995票で33・1%を占め、投票理由では「苦しんでいる当事者が一層声をあげにくくなる」などの声も上がった。この発言をめぐっては、性暴力に抗議する「フラワーデモ」の主催者らが杉田氏に謝罪と議員辞職を求める署名を募り、短期間に10万筆を突破。その署名を受け取らず、幹部が口頭注意しただけで幕引きした自民党の対応にも批判が集まった。

 2位は、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長だった森喜朗・元首相の「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」など一連の発言で、1216票(20・2%)だった。女性の発言の機会や権利を否定するものだと厳しい批判が集まったほか、「いろいろなところで女性が遭遇する確率が高い発言」など、自身の体験と照らして多様な意見が寄せられたという。発言後、国内外で批判が強まり、森氏は辞職に追い込まれた。

 3位は足立区議会の白石正輝氏の「あり得ないことだが、日本人が全部L(レズビアン)、G(ゲイ)になったら次の世代は一人も生まれない」との発言で、794票(13・2%)。自由記述欄に記入した689人のうち、「全部ひどいので、すべてに投票したい」とした人も181人いた。呼びかけ人の一人、皆川満寿美・中央学院大准教授は「問題ある公的発言がまだまだ多すぎる」とした上で、「ついに今年、ジェンダーに関して問題ある公的発言をした人が、その責任を取って辞任するという対応がなされた。性差別的な公的発言への強い批判が社会を変える力を持ちうると示し、印象に残る出来事だった」と指摘した。

 ウェブサイト(https://yurusanai-seisabetsuhatsugen.jimdofree.com/)に、詳しい結果を掲載しているほか、ノミネートされた発言にどのような問題があるかも解説している。前回のワースト発言は、国の少子化政策をめぐる麻生太郎財務相の発言「年寄りが悪いみたいなことを言っている変なのがいっぱいいるけど、間違ってますよ。子どもを産まなかったほうが問題なんだから」だった。(岡林佐和)

朝日新聞社
3/8(月) 20:42
https://news.yahoo.co.jp/articles/8cf448065b8b6eb7ab2e682960d1322ef5b6a2e8