国際オリンピック委員会(IOC)が11日に開いたオンライン総会で、今夏の東京五輪に向けた新型コロナウイルスのワクチン接種や、
海外からの観客受け入れを断念した場合の日本側の対応遅れを不安視する声が上がり、
大会組織委員会の武藤敏郎事務総長に質問や意見が相次いだ。

「2月中旬に東京でワクチン接種が始まったと言っていた。(日本)代表選手が打つのは、いつになるのか」。ガラドアリ委員(ジブチ)の質問に、
武藤氏は「政府から明確なタイムラインの発表はない」と説明した。欧米や中東を中心に既に選手の接種が始まったり、接種の方針が示されたりする中、
世界から選手を受け入れる開催国の遅れを露呈した。

海外からの一般観客を巡っては、カプラロス委員(ギリシャ)が、航空券代や宿泊費を払った観客による補償請求を想定して
「組織委やIOCは明確な方針を持つべきだ」と指摘。IOCと日本側は今月中の可否判断で合意している。コーツ調整委員長は
「日本政府のいかなる決定も、安全第一であることを前提に支持する。緊急性の高い議論で来週中に解決しなければいけない」として理解を求めた。

またバッハ会長は東京五輪と来年2月の北京冬季五輪の参加者向けに、
中国オリンピック委員会から新型コロナウイルスのワクチン提供の申し出があったと明らかにし「追加分の費用はIOCが負担する」と述べた。

パラリンピックの選手団についても追加分の費用を負担するとし
「(中国の)連帯の精神に基づく提案に感謝する。東京大会の安全性を確保する上で新たな画期的なことだ」と歓迎した。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG120QB0S1A310C2000000/