https://news.yahoo.co.jp/articles/b592f7caeeb33c280ff34f42d007fd1d5e28e4e4
 日本で、敵基地攻撃能力に関する議論が高まっている。敵基地攻撃能力とは、例えば、敵がミサイルで攻撃してきたとき、ミサイル発射機のある基地を攻撃することを指す。つまり、長射程の攻撃能力を持つことと同義だ。

【関連画像】JASSM(統合空対地スタンドオフミサイル)を発射する米軍機(提供:USAF/AFP/アフロ)

 2020年12月の防衛計画の大綱(10年を目安とした防衛計画)の修正に明記されなかったものの、すでに、日本は(1)対艦ミサイルの射程を現状の200qから1000〜2000qに延伸、(2)戦闘機から発射する長射程のミサイルの輸入、(3)護衛艦「いずも」「かが」の空母化、(4)空母艦載機となる「F-35B」ステルス戦闘機の購入などの計画を進めている(表1参照)。

 距離の目安を示すと、九州から尖閣諸島までが1000q。日本は東西南北3000q四方くらいの国である。

 ただ、長射程の攻撃能力の保有について、国内の議論には、あまり登場しない論点がある。この戦略が、より大きな、世界的な動きの一部になっていることだ。日本と同時並行して、長射程の攻撃能力の保有に動いている国々がある。特に、オーストラリアとインドの動きは見逃せない。 表1:日本が配備開発・配備を計画している長射程の攻撃能力

●日米豪印4か国すべてが同時進行

 まず、オーストラリアについてみる。オーストラリアは、日本が保有を計画しているJSMの開発に既に協力し、JASSMも既に保有し、運用している。しかし、同国の国防省は2020年7月、長射程の攻撃能力の保有計画を改めて発表した。2700億ドルかけて行う、現在進めている軍の近代化計画の一環をなす。

 オーストラリアは、(1)長射程の対艦ミサイルLRASMの配備、(2)陸上発射型の長射程ミサイル、(3)極超音速兵器の開発などを計画しているようだ。LRASMは、米国が開発中のもので、日本も配備を検討している。戦闘機や艦艇から発射するミサイルで、射程は少なくとも370q以上、将来的に約900qになる模様。オーストラリア軍が現在運用し、自衛隊も保有しているミサイル、「ハープーン」の124qから大きく伸びる可能性がある。

 オーストラリアがこのミサイルをF-35戦闘機に搭載して運用することを考えると、半径2100qの範囲が攻撃可能になる。F-35の航続距離が1200q、そこから900qミサイルを発射できるため、1200q+900q=2100qとなる。 表2:オーストラリアの長射程ミサイル


(略)