※BBC

ローマ教皇庁(ヴァチカン)は15日、カトリック教会は同性婚を祝福することはできないとの公式見解を示した。

カトリック教会では、司祭などが教会の名の下に人々に祝福を与える。

教義および道徳の保持と促進を担う教理省は今回、神が「罪を祝福」することは「不可能」だと説明。一方で、同性愛関係には「前向きな要素」があると述べた。

教皇フランシスコ1世は昨年10月に上映されたドキュメンタリーの中で、同性カップルにも婚姻関係に準じた権利を認める「シビル・ユニオン」を認めるべきだとの考えを明らかにしていた。

ロイター通信によると、ドイツやアメリカの一部のカトリック教区ではこのところ、性的マイノリティー(LGBTQ)の信者を歓迎する一環で、同性愛カップルを祝福する動きが出ていた。

教理省は今回、教皇庁に寄せられた「教会に同性婚を祝福する力はあるのか」という質問に対し、「いいえ」と回答。教義で秘跡とされているのは男女間の婚姻関係であり、その祝福を同性カップルに拡大尾することはできないと述べた。

「この理由から、たとえ安定した関係やパートナー同士であっても婚外性交渉(子孫を残す可能性のある男女の不変な婚姻関係ではないもの)は祝福できないのと同様、同性同士の関係性も祝福できない」と、教理省は説明している。

■人々の反応は?

この回答に反発して、ソーシャルメディアでは同性婚の写真の投稿が相次いだ。

2020年の米大統領選に立候補していたピート・ブダジェッジ米運輸長官の夫、チャステン・ブダジェッジ氏も、2人の写真と共に、「愛は愛、同性婚は合法、教皇はあなたの地元の担当者じゃない、すてきなシーツとワインを予約して、平和と祝福を」とツイートした。

進歩派のカトリック・グループも、教皇庁の発表に懸念を表明した。

「カトリックス・フォー・チョイス(カトリック教徒に選択を)」のシャーロット・クライマー氏はツイッターで、「LGBTQであることは選択ではない。性的マイノリティーの人は神によって造られた。ヴァチカンなどの宗教当局が何を言おうと、このように生まれ、この状態で完璧なのです」と語った。

同性愛者のカトリック信者グループ「New Ways Ministry」のフランシス・デバーナード会長は、教皇庁の声明は「驚くものではないが、失望した」と述べた。

■フランシスコ1世の過去の発言

教皇は2013年、「同性愛者を私は裁けるだろうか?」と言う有名な言葉を発している。

また昨年のドキュメンタリーでは、「(同性愛者)は神の子であり、家族の一員になる権利がある。誰も見捨てられたり、惨めな思いをさせられたりしてはならない」と述べた。

ローマ教皇庁はこのドキュメンタリーの上映後、教皇の発言は文脈から引き離されて引用されたものであり、同性婚を支持するものではないと説明した。

3月16日
https://www.bbc.com/japanese/56410862
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