新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言は、21日で全面解除の運びとなった。発令から約2か月半がたち、直近の新規感染者数は下げ止まっている。感染再拡大への懸念はくすぶったままで、達成感とはほど遠い幕引きとなりそうだ。

菅首相は17日、解除理由として「感染者数、病床使用率が解除の方向に入っている」ことなどを挙げた。

 政府は今月7日に首都圏1都3県への宣言を2週間延長した。病床使用率が「危険水域」にあったからだ。いずれも2番目に深刻な「ステージ3」(20%以上〜50%未満)とはいえ、千葉県は2日時点で「ステージ4」に迫る勢いだった。首相は2週間の延長によって「状況を慎重に見極めるために必要な期間」を確保せざるをえなかった。

 病床使用率を下げるため、「『分母』の病床数を増やして『分子』の入院者数を減らす」(内閣官房幹部)ことに力を入れた。その結果、10日の病床数が1週間前に比べて千葉で7床、東京で48床増えたのに対し、入院者数は千葉で89人、東京で213人減り、解除の道筋が付いた。

 首相は全面解除にあたり、1都3県の知事の動向にも注意を払った。旧知の森田健作千葉県知事と連絡を取り、感染状況をこまめに確認した。

 小池百合子東京都知事は今回、表だった動きを控えた。
先の2週間延長では、政府の機先を制して近隣3県の知事の根回しに動き、事実と異なる説明をされたとして黒岩祐治神奈川県知事や森田氏の不興を買ったばかりだ。

3/17(水) 22:27
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