【ニューヨーク=野村優子】米製薬大手ファイザーは23日、新型コロナウイルスの治療薬について初期段階の臨床試験(治験)を開始したと発表した。感染者の体内でウイルスの増殖を防ぐ作用を持つ。口から飲む経口薬で、注射薬などに比べて利便性が高いのが特徴だ。

治験は米国で実施され、健康な成人が治験参加者となる。同治療薬は、ウイルスが体内で感染を広げるのに必要なプロテアーゼという酵素の働きを阻む「プロテアーゼ阻害薬」という。ファイザーは併せて、入院患者を対象にした静脈注射で投与する新型コロナ治療薬の治験も進めている。

同日、遺伝子情報から作る「メッセンジャーRNA(mRNA)」という新技術を活用した新たなワクチン開発に取り組む方針も明らかになった。ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)が米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで言及した。ファイザー製の新型コロナワクチンは独ビオンテックと共同開発したmRNAワクチンで、この成功を踏まえて新型コロナ以外のウイルスに対応する。

日本経済新聞 2021年3月24日 4:23 (2021年3月24日 5:27更新)
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