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一番おいしい台湾産パイナップル

写真:現代ビジネス

 2021年2月26日に中国海関総署(中国税関総署)は『3月1日から台湾地区の「菠蘿(発音:ボーロ―)」の輸入を一時停止する』と発表した。その理由は、台湾地区から輸出される「菠蘿」から有害昆虫の貝殻虫(カイガラムシ)が検出されたというものだった。

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 「菠蘿」とはパイナップルを意味する。中国の標準語である「普通話」ではパイナップルを「菠蘿」と呼ぶが、中国・福建省と台湾海峡で隔てられた台湾では、パイナップルを台湾の標準語「国語」で「鳳梨(発音:フォンリー)」と呼び、台湾土着の言語である「台湾語」では「王梨(発音:オンライ)」と呼ぶ。

 「菠蘿」を中国のオンライン百科事典「百度百科」で検索すると、そこには次のような記載があった。

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【原文】菠蘿(学名:Ananas comosus),菠蘿是鳳梨的俗称, 属熱帯水果之一。有70多個品種,嶺南四大名果之一。
【訳文】パイナップル(学名:アナナス・コモサス)、菠蘿は鳳梨の俗称で、熱帯果物の1つに属する。70種類以上の品種があり、「嶺南(広東省・広西チワン族自治区・海南省などを中心とする中国南部地域)」の4大果物の1つである。
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 ちなみに、「嶺南の4大果物」とは、荔枝(ライチ)、菠蘿(パイナップル)、香蕉(バナナ)、木瓜(パパイア)を指す。

 ところで、上述の「百度百科」は、「菠蘿は鳳梨の俗称」と述べているが、実際には中国で産出される菠蘿と台湾で産出される鳳梨には大きな違いがあり、全ての面で鳳梨が菠蘿より優れているようだ。中国のウェブサイト「棗百科」に列挙されている両者の違いはこうなる。

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1.パイナップルの実の上にある葉っぱを「冠芽(かんが)」と言うが、菠蘿の冠芽には小さな鋸状のギザギザがあるのに対して、鳳梨の冠芽には鋸状のギザギザはない。
2.パイナップルの実は100〜200個の小さな実が集まった「集合果」である。菠蘿はその小さな実と実の間の溝が深く、尚且つ皮が厚いので、食べるには皮を厚くむくと同時に果肉にある突起を刃物で削り取る必要がある。一方、鳳梨は小さな実と実の間の溝が浅く、尚且つ皮が薄く、果肉に突起がないので、皮をむくのが容易である。
3.菠蘿は果肉を塩水に漬ける必要があり、食べると舌がざらつく感じがする。これに対し、鳳梨は果肉を塩水に漬ける必要はなく、そのまま食べられるし、食感は滑らかで、舌がざらつくこともない。なお、鳳梨は芯が柔らかいので、果肉だけでなく芯も食べることができる。
4.菠蘿と鳳梨が含有する水分と糖度の比較は以下の通り。
【水分】菠蘿:★★★★ vs.  鳳梨:★★★★★
【糖度】菠蘿:★★ vs. 鳳梨:★★★★
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 前置きが長くなったが、同じパイナップルでも菠蘿と鳳梨の間には大きな相違があることを理解いただけたと思うので、本題に戻ることにする。
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(略)