2021年度予算が26日成立し、通常国会は前半の山場を越えた。東京オリンピックの開幕が7月、衆院議員の任期満了が10月に迫る中、今後の焦点は菅義偉首相がいつ衆院解散・総選挙を判断するかに移る。首相は26日、早期の衆院解散に否定的な見解を示したが、自民党内では「五輪前解散」の観測がくすぶり、野党も対決色を強めている。

火付け役は下村氏と森山氏
 首相が見据えるのは東京五輪(7月23日〜8月8日)とパラリンピック(8月24日〜9月5日)を終えた後の衆院解散だ。閣僚経験者は「首相は今のところ五輪前の解散に慎重だ」と明かす。首相は26日に早期解散に否定的な見解を示したが、「新型コロナウイルス対策で国民の支持を受けない中で衆院選に踏み切っても逆風を招くだけ」(周辺)との不安が背景にある。

 首相は18日の記者会見で解散について「9月までが任期だからその中で考えていく」と発言した。9月30日までの自民党総裁任期中に自らの手で解散する意向を示した、と受け止められている。思い描くのは、後半国会で成果を積み重ね、五輪・パラリンピックの成功で一気に政権浮揚を図るシナリオだ。

 それでも自民党内に「五輪前解散」の観測はくすぶる。直近は「4月後半解散・5月23日投開票」だ。火付け役は、自民党の下村博文政調会長と森山裕国対委員長。下村氏は3月18日の講演で、4月前半に首相が訪米して行う日米首脳会談に触れ、「大きな成果になる。内閣支持率にも多分プラスになる。その時に(解散)は考えられる」と明言。森山氏も同日のテレビ番組収録で「否定はできない」と同調した。特に森山氏は首相の盟友。それだけに党内で「5月説」が広がるきっかけを作った。

 与党は首相の肝いり法案「デジタル改革関連法案」の4月中の成立を狙っており、4月12日には新型コロナの高齢者向けワクチン接種が始まる。5月説は、日米首脳会談に加え、こうした「成果」を示して解散に踏み切るシナリオだ。政府内では「首相が解散に合わせて21年度第1次補正予算案の編成も打ち出すのでは」との観測…(以下有料版で, 残り2487文字)

毎日新聞 2021/3/26 20:30(最終更新 3/26 21:00)
https://mainichi.jp/articles/20210326/k00/00m/010/429000c